2011 Fiscal Year Annual Research Report
ユビキタスジェノタイピングによる生物多様性ホットスポットの包括的生物保全
Project/Area Number |
20241056
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
井鷺 裕司 京都大学, 農学研究科, 教授 (50325130)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 哲明 首都大学東京, 理工学研究科, 教授 (60192770)
加藤 英寿 首都大学東京, 理工学研究科, 助教 (50305413)
安部 哲人 独立行政法人森林総合研究所, 九州支所, 主任研究員 (00353558)
藤井 紀行 熊本大学, 自然科学研究科, 准教授 (40305412)
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Keywords | 生物多様性保全 / 絶滅危惧植物 / 遺伝的多様性 / 生物多様性ホットスポット |
Research Abstract |
小笠原諸島では、これまで採集と解析を継続的に行ってきたムラサキシキブ属やトベラ属について集団と個体数を補充して遺伝子型を決定するとともに、セキモンウライソウ、タイヨウフウトウカズラ、コキンモウイノデ、ムニンミドリシダについても解析を行った。父島ではシロトベラとオオミトベラの間で交雑している可能性が高いことが確認された。また、マルバタイミンタチバナとムニンノキに関しては、本研究による網羅的採集の過程によって無人島域にこれまで認識されていなかった個体群があることが判明した。シロテツ属・ムラサキシキブ属・タブノキ属・トベラ属・クロキ属植物については計画通りユビキタスジェノタイピングによる解析が完了し、現在論文のとりまとめと投稿中を行っている。 阿蘇山系においては、ハナシノブについて、埋土種子から再生した集団を対象にサンプリングを行い、遺伝的特性を評価した。その結果、埋土種子から再生した集団は、既存の集団が持たない遺伝的多様性を有しており遺伝的多様性の復元に大きく貢献することが明らかになった。タマボウキについては新しく発見した自生地のすべての個体の位置情報・繁殖状況を記録し、近縁種で開発されたEST-SSRマーカーが利用可能であることを確認した。オグラセンノウの解析では、開発したマイクロサテライトマーカーを用いて、網羅的解析を行ったところ、本種は、現存個体数が少ないにもかかわらず、他の阿蘇に生育する絶滅危惧植物に比べて比較的高い遺伝的多様性を保持していること、集団間分化が生じていることが明らかとなった。ツクシクガイソウでも同様の解析を行い、オグラセンノウほど高くはないにしても比較的高い遺伝的多様性が保たれていることが明らかになった。
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Research Products
(16 results)