2010 Fiscal Year Self-evaluation Report
A Study on Dynamism of International Order with Application of the Multi-Agent Modelling
Project/Area Number |
20243011
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Research Field |
International relations
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
YAMAKAGE Susumu The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 教授 (10115959)
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Project Period (FY) |
2008 – 2011
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Keywords | 国際秩序 / 社会秩序 / シミュレーション技法 / エージェント / 人工社会 |
Research Abstract |
本研究は、国際関係論における理論と方法としてマルチエージェント・シミュレーション(以下MAS)の可能性を追求する。これまで、山影進・服部正太(編著)『コンピュータのなかの人工社会』(2002)や山影進『人工社会構築指南』(2007)、山本和也『ネイションの複雑性』(2007)といった形で成果を示してきたMASを、国際秩序の変動という重要課題に適用して、国際関係論においてMAS技法の導入をさらにすすめるものである。 また、本研究を進めることにより、MASが既に導入され始めた社会科学の他分野との意思疎通や連携強化、国際関係論の研究・教育に特化して-層利用しやすいマルチエージェントシミュレータの開発にも資することもめざしている。 国際政治秩序の変動は、覇権の交代や帝国の盛衰といった数世紀にわたる問題や、国際通貨制度の変化や国際環境レジームの生成といった世代単位の問題が従来から注目されてきた。さらに、破綻国家や内戦・地域紛争をめぐる問題など国家を相対化する問題にも関心が高まっている。このようなアナーキー(無政府)という状態で秩序が生成・変動・崩壊する問題へのアプローチとして、ミクロなレベルにおける主体(エージェント)の相互作用をマクロなレベルにおける創発(秩序生成)に関連づけるMASは非常に有望な研究手法である。 しかし現状では、日本でも海外でも、MASは、抽象度の高いモデルの解析にとどまっており、現実の秩序変動と結びつけられた研究はほとんどない。このような欠点を克服し、この技法の特徴を活かした国際政治秩序変動の研究の前進が必要とされている。 以上のような学術的背景を受けて、本研究は、第一に、国家や国家自体を構成する下部主体などの各種の行為主体(エージェント)どうしの相互作用から自己組織化されるものとして国際政治秩序を捉え、国際関係論で重要な-角を占めている秩序研究の新しい方向を開拓する。第二に、最近注目され始めたMAS技法の可能性を最大限に引き出すことにより、国際政治秩序変動の構造と過程を、モデル分析と実証研究と具体的に関連づけながら、解明しようとするものである。 これにより、国際関係論の方法としてのMASの有用性を示そうとするものである。
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Research Products
(11 results)