2010 Fiscal Year Annual Research Report
為替レート変動の理論分析と高頻度データによる実証分析
Project/Area Number |
20243014
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 隆敏 東京大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (30203144)
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Keywords | 為替レート / 高頻度データ / 介入 / オーダーフロー / 変動性(ボラティリティー) / ランダム・ウォーク / マクロ統計 / マイクロ・ストラクチャー |
Research Abstract |
本年度の主要な成果は、JJIEに掲載された"Effects of Japanese Macroeconomic Announcements on the Dollar/Yen Exchange Rate : High-Resolution Picture"論文である。本研究では、日本の主要なマクロ変数について、政府機関からの発表の前後数分から30分で、為替レートがどう反応してかを検証することにより、市場参加者がマクロ変数を為替レートにどのような関係があると考えていたかを推測する実証分析である。これは、高頻度データを使うことで可能になった分析で、これまでの同様の分析を、数段精緻化したものである。これにより、これまでは日本のマクロ変数の発表は、為替レートにあまり影響しない、という結果が多かったものを覆し、多くのマクロ変数が為替レートに影響していたことがわかった。一番大きな反応を引き起こしていたのが、GDP成長率と日銀短観、それぞれの事前の予想値と発表値の差である。 もう一本の"Random Walk or a Run-Market Microstructure Analysis of the Foreign Exchange Rate Movements based on Conditional Probability"という論文では、やはり高頻度データを用いて行った、為替レートの次の瞬間の変化について予測可能か、という分析である。これまでの学界の通説は、為替レートはランダムウォークに従い、次の瞬間の変化(の方向)は予測できない、というものであった。これに対して、直近の取引データで条件付けすると、変化の方向についても、有る程度予測可能であるとの、結論を得た。これは、為替レートの高頻度データの利用で初めて明らかになった発見である。
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[Journal Article] Random Walk or a Run-Market Microstructure Analysis of the Foreign Exchange Rate Movements based on Conditional Probability2011
Author(s)
Hashimoto, Yuko, Ito, Takatoshi, Ohnishi, Takaaki, Takayasu, Misako, Takayasu, Hideki, Tsutomu Watanabe
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Journal Title
Quantitative Finance
Volume: (掲載決定)(掲載確定)
Peer Reviewed
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