2011 Fiscal Year Annual Research Report
為替レート変動の理論分析と高頻度データによる実証分析
Project/Area Number |
20243014
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 隆敏 東京大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (30203144)
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Keywords | 為替レート / 高頻度データ / 介入 / オーダーフロー / 変動性(ボラティリティー) / ランダム・ウォーク / マクロ統計 / マイクロ・ストラクチャー |
Research Abstract |
本年度の研究成果は、出版にいたったものが、Hashimto and Ito(2011), "Market Microstructure of the Foreign Exchange Markets : Evidence from the Electronic Broking System,"の一件ではある。この論文では、これまでのEBSデータを用いた成果のサーベイが行われている。これまで、この分野で使われていたデータではわからなかった、一日のなか(24時間時計)の為替レート変動や、取引量の動きを明確に示してこと、取引が買いサイドでついているか、売りサイドでついているかで、つぎの瞬間の為替レートの動きの予測につなげることができることなどについての解説か行われた。 さらに、Dominguez, Hashimoto, Ito, "International Reserves and the Global Financial Crisis" NBER working paper, no.17362, August 2011を発表した。ここでは、各国の外国為替市場への公的介入のデータ(多くの国では公表していない)を、IMFのSDDSシステムへの報告から、推測する方法を開発、これにより、各国の為替市場への関与の度合いを解明することに成功した。とくに、為替レートが大きく変動した世界金融危機(2008-2010年)の時期に焦点をあてて、新興市場国において危機の前に外貨準備を積み上げた国が、危機の最中の減価圧力を介入により和らげることができた、また危機後の経済回復にプラスに働いたことを示すことができた。これは現在、ジャーナルに投稿中である。 これとは別に、2010-11年のデータを購入したあと、データの整理が行われた。これは、取引単位やデータの記録頻度の変更があったことから、2009年までのデータに接続することが難しかったためである。これで、1998年から2011年までの長期のデータセットをつくることができた。翌年度の研究の基礎的作業となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
順調に研究成果をあげている。今年度(最終年度)にむけて、最新のデータセットを用意して、さまざまな角度から、為替レート変動の分析の集大成をおこなう準備を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は最終年度であるので、これまでに作業パイプラインにはいっているプロジェクトをすべて完成させることを目指している。データも入手済みでとくに問題点はない。
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