2010 Fiscal Year Annual Research Report
大規模個票データを使った医療情報分析・政策評価の研究
Project/Area Number |
20243016
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
縄田 和満 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (00218067)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川渕 孝一 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (10308934)
加藤 淳子 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (00251314)
倉田 博史 東京大学, 大学院・情報学環, 准教授 (50284237)
原 尚幸 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教 (40312988)
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Keywords | 医療データ / 個票データ / 医療政策 / DPC / データ解析 / 白内障手術 / 計量経済 / 経済統計 |
Research Abstract |
平成22年度は、引き続き、前年度までに作成したデータベースの拡張・改善を行った。次いで、在院日数の分析に関する新たな分析モデルを提案した。在院日数の分析のような生存時間解析には.Coxの比例ハザードモデル(Proportional hazard model)などのモデルが幅広く用いられる。しかしながら.このモデルには次に述べるような問題点がある。第一は,在院日数を決定する過程が明示的にモデル化されておらず,なぜ,患者がある日数で退院するかといった詳細な分析ができない点である。第二は、ベースライン・ハザード関数に不均一性があるなど、モデルの仮定が満足されない場合には利用できないことである。このことは,平均と分散を個別に分析できないことを意味しており,分散の違いを考慮して分析する必要がある場合には、比例ハザードモデルによる分析は適当でないことになる。平均在院日数や患者の属性が似たような病院にいても、しばしば分散は大きく異なり、そのようなデータの分析においては比例ハザードモデルは適当でないことになる。ここでは、新たにトービットタイプのモデルを提案した。このモデルは既存のモデルを代替するもので,生存時間解析の問題一般に幅広く利用可能で既存のパッケージ・プログラムによって簡単に推定できるものである。このモデルを使って、白内障手術・糖尿病などにおける治療成果の分析、DPC導入の影響の分析などを行った。この結果、制度導入以前に在院日数が長い病院では在院日数を短縮しようとするインセンティブが働いたが、すでに短い病院では働かなかった可能性が示された。また、開発された手法の他の分野への応用研究を行った。これらの研究成果は合計12編の論文として刊行されている。
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