2011 Fiscal Year Annual Research Report
アクチュアリーとファイナンスにおけるベイジアン・モデリング
Project/Area Number |
20243017
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
中妻 照雄 慶應義塾大学, 経済学部, 教授 (90303049)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅井 学 創価大学, 経済学部, 教授 (90319484)
小暮 厚之 慶應義塾大学, 総合政策学部, 教授 (80178251)
杉田 勝弘 琉球大学, 法文学部, 准教授 (50377058)
谷崎 久志 大阪大学, 経済学研究科, 教授 (60248101)
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Keywords | 経済統計学 / ベイズ分析 / アクチュアリー / ファイナンス / リスク分析 |
Research Abstract |
平成23年度はアクチュアリーとファイナンスの実務において必要とされる定量的リスク評価をベイズ的アプローチによって行うためのモデリングと数値計算手法の研究を行った.主な研究の成果は以下の通りである. 1.連続時間における多変量ボラティリティ変動モデルの推定と市場リスクの評価 資産の市場価格の変動に伴うリスク(市場リスク)の評価を行う代表的なモデルである多変量ボラティリティ変動モデルを連続時間モデルに拡張し,バリュー・アット・リスクなどのリスク測度の評価を行った. 2.異なる資産市場間におけるボラティリティの相互依存関係の検証とそのリスク管理への応用 株式,債券,外国為替など異なる資産間のボラティリティの相互依存関係を分析し,そのリスク管理への応用を研究した, 3.GPUを利用した多数の資産からなる大規模ポートフォリオの構築とそのリスク評価 GPU(graphics processing unit)による大規模かつ高速な並列計算を活用して多数(数千~数万)の資産からなる大規模なポートフォリオの構築をベイズ的アプローチで行う手法の開発を行った. 4.ベイズ的アプローチによるリバース・モーゲージの評価 リバース・モーゲージの価格評価をベイズ的アプローチで行う方法を研究した. また研究成果の報告と国内外の研究者との意見交流を行うため,研究集会を2011年11月19-20日に下関市立大学唐戸サテライトキャンパスで開催するとともに国内外の学会への参加を積極的に行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の主たる目的であるアクチュアリーとファイナンスにおけるリスク分析手法の研究は,刊行論文や学会発表などの件数を見る限り順調に成果を上げてきたといえる.また,研究の内容においても連続時間における多変量ボラティリティ変動モデルの推定,GPUを利用した大規模なポートフォリオの構築,ベイズ的アプローチによるリバース・モーゲージの評価などの研究は世界的に見ても高い水準に達していると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の研究期間もあと1年を残すだけとなった.今までの研究成果を発展させ,さらにベイズ的アプローチによるリスク分析の研究を進めていきたい.本研究課題が2008年4月より始まって以来,現実の世界ではリーマンブラザーズ破綻に端を発した世界金融危機や東日本大震災などの大規模なリスクイベントに金融市場は翻弄されてきた.本研究課題に残された時間は限られてはいるが,これらの大規模リスクイベントのベイジアン・モデリングにも挑戦していきたい.
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Research Products
(11 results)