2010 Fiscal Year Annual Research Report
アダプティブ・ガバナンスと市民調査に関する環境社会学的研究
Project/Area Number |
20243028
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
宮内 泰介 北海道大学, 大学院・文学研究科, 教授 (50222328)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鬼頭 秀一 東京大学, 新領域創成科学研究科, 教授 (40169892)
佐藤 哲 長野大学, 環境ツーリズム学部, 教授 (10422560)
菅 豊 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (90235846)
関 礼子 立教大学, 社会学部, 教授 (80301018)
赤嶺 淳 名古屋市立大学, 大学院・人間文化研究科, 准教授 (90336701)
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Keywords | コモンズ / 順応的管理 / レジティマシー / 自然再生 / 社会的モニタリング |
Research Abstract |
本研究は、社会のしくみや制度を順応的に変えていきながら自然環境管理を行っていくということ(アダプティブ・ガバナンス)と、その中における市民調査(市民・住民自身による調査)の役割を、事例を積み重ねることによって分析し、そこからモデル構築および政策提言をしていくことを目的としている。本研究の3年目に当たる本年は、各メンバーがそれぞれに現地調査を継続し、またそれらの報告を行い、相互に批判検討して、議論を深化させていった。その結果、次のことが分かった。各事例からは、多元的な価値のもと、柔軟なしくみによって自然環境管理を行うこと(アダプティブ・ガバナンス)の重要性があらためて認識され、さらにこのアダプティブ・ガバナンスにおいて重要な次の3点が明らかになった。(1)試行錯誤とダイナミズムを保障すること。モデルを考えること自体は悪くないし、他事例に学んでしくみを作ること自体も悪くない。しかし、それを硬直的に考えると、おかしくなってしまう。単一のしくみに任せないで、複層的なしくみに身を任せること。そうした試行錯誤を認めること。あいまいな領域を確保しておくこと。そうすることが、硬直化を回避し、しくみを動かしつづけることになる。(2)多元的な価値を大事にし、複数のゴールを考えること。ある価値から始めた活動も、柔軟なしくみのもとで、多元的な価値を大切にし、質的なものや文脈を重視すること。思い切って問題をずらし、多元的な営みにしていき、そのことによって、複数の価値が並存して進む。(3)多様な市民による調査活動や学びを軸としつつ、大きな物語を飼い慣らして、地域の中での再文脈化を図ること。グローバルな価値を鵜呑みにするのでも、頭から否定するのでもなく、自分たちの地域の文脈の中に埋め戻すこと。地域が主体になってその使いこなしをするためには、地域の中での学びや組織化が重要なポイントになる。
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Research Products
(58 results)