2011 Fiscal Year Annual Research Report
長期記憶の多様性と再構成を担う機能的神経回路の解析
Project/Area Number |
20243035
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
櫻井 芳雄 京都大学, 文学研究科, 教授 (60153962)
|
Keywords | 長期記憶 / 神経回路 / ニューロン / 海馬 / 前頭前野 / ラット |
Research Abstract |
昨年までに開発し最適化した遅延条件性音-位置連合記憶課題をラットに訓練し、課題遂行中のマルチニューロン活動を記録し解析した。具体的な手順は以下のとおりであった。(1)ラットがオペラントボックス右側中央の穴へノーズポークすることにより試行を開始し、6kHzもしくは4kHzの音を呈示した。(2)音の呈示中に左側の壁へ移動し、6kHzの音では右の穴へ反応することに報酬を与え、4kHzの音では左の穴へ反応することに報酬を与えた。(3)この課題の訓練終了後、外科的な手術により、海馬と前頭前野にマルチニューロン活動記録用のテトロード電極を3本ずつ埋め込み、マイクロドライブにより自由に上下できるようにした。(4)回復後、手術前と同じ6kHzと4kHzの音を用いた遅延条件性音-位置連合記憶課題を行わせ、課題遂行中のマルチニューロン活動を記録した。(5)同様の課題を9kHzと7kHzの音を用いて訓練し(9kHz→右へ反応、7kHz→左へ反応)、同じマルチニューロン活動を、課題を十分学習できるまで数日間にわたり記録した。(6)学習終了後、同様の課題を3kHzと1kHzの音を用いて訓練し(3kHz→右へ反応、1kHz→左へ反応)、やはり同じマルチニューロン活動を課題を十分学習できるまで数日間にわたり記録した。 記録したマルチニューロン活動のデータをオフラインで解析した。まず、記録したマルチニューロン活動を個々のニューロン活動に正確に分離した。次に、ニューロン集団を構成するための機能的シナプス結合とその変化については、相互相関解析と同期発火解析により検討した。これまでのところ、連合記憶を形成する過程で海馬と前頭前野内で局所的なニューロン集団が形成されること、また、さらに異なる連合記憶を形成する際に海馬と前頭前野の間で機能的結合が一時的に働くことがわかってきた。
|
Research Products
(11 results)