Research Abstract |
常微分方程式におけるmiddle convolution,Gause変換,Laplace変換などの概念をWeyl代数における変換に拡張して統一化し,代数的線形微分方程式の研究を行った. 特に,Fnchs型常微分方程式における合流操作,隣接関係式,解の級数表示や積分表示に対し,一般的かつ具体的な結果を得て,スペクトル型による方程式の分類と対応するuniversal modelの存在定理を示した.rigid local systemが見かけの特異点を持たない単独常微分方程式で実現できるか,というNicholas Katzのopen problemは,この存在定理の自明な場合として肯定的に解決されたことになる.さらに,方程式の解の接続問題における接続係数と方程式の既約性の必要十分条件とを,一般的かつ具体的に求めた.また,この方法は,Appellの超幾何のような多変数の特殊関数の場合にも有効なことを示した. Fuchs型方程式に対し,スペクトル型などのデータを与えて方程式の具体形,解のべき級数表示や積分表示,接続係数,既約性の必要十分条件などの結果をTeXのソースとして出力したり,コンピュータ上で表示するプログラムを開発して公開した. 2009年6月には,Deligne-Simpson問題の提唱者のKostov氏を招いて,複素領域における一階常方程式系の研究手法の理解を深めることができた.また,8月には海外から数人の研究者を招いたWorkshopを開催し,表現論と積分幾何に係わる微分方程式の理解の現状についての情報交換とともに,これらの分野への応用を見込んで研究すべき具体的な微分方程式を明らかにすることができた.
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