2011 Fiscal Year Annual Research Report
群の表現およびルート系に付随した微分方程式の研究とその応用
Project/Area Number |
20244008
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大島 利雄 東京大学, 数理(科)学研究科(研究院), 教授 (50011721)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 俊行 東京大学, 数理(科)学研究科(研究院), 教授 (80201490)
|
Keywords | 国際研究者交流 / 多国籍 / 常微分方程式 / 超幾何関数 / モノドロミー / ルート系 / 積分幾何 / 等質空間 |
Research Abstract |
単独のFuchs型の線型常微分方程式の研究を前年度に引き続いて行った。特にパラメータが特殊な値を取ったときの解析を詳しく行った。特にrigidであるとき,解の空間のモノドロミー群が可約となった場合において隣接関係による準同型写像の同型性がいつ崩れるか,それを記述するキーとなる多項式を定義して多くの場合に具体型を与えた。関連して,多項式解がいつ存在するかを決め,多項式解の構成した。また,解の接続係数を決定する問題を,モノドロミー行列の固有値の重複度が1とは限らない場合に解空間の部分Wronskianを考えることにより一般化し,rigidないくつかの場合にその接続係数をガンマ関数を用いた具体的な公式で与えるとともに,一般の場合の求め方の原理と予想を与えた。 Fuchs型の線型常微分方程式の一般論の構築がほぼ完成したので,それについての一連の講義を元に,アイデアと主要結果を解説した日本語の講義録を作成して出版し,成果が広くアクセスできるようにした。 多項式係数の線形常微分方程式において,確定特異点とは限らず,不分岐の不確定特異点を許す場合へと研究を発展させた。すなわち,この場合にも一般化Riemann schemeを定式化して,スペクトル型を定義し,middle convolutionとGauge変換による作用がKac-Moodyルート系のWeyl群の部分群とみなせることを示した。さらに廣惠との共同研究により,アクセサリー・パラメータの数毎に,Fuchs型の場合と同様にその群作用の軌道が有限になることを証明した。特にアクセサリー・パラメータの数が2個以下の場合の完全な分類を行い,それがFuchs型のbasicなものの合流で得られることを示した。この結果は4次元Painleve方程式の分類の一つにの筋道を与えるものとしての意義もある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
Fuchs型線型常微分方程式について,一つの大きな目標であった接続公式が得られ,方程式の具体的構成や,隣接関係式,モノドロミー群の既約性,様々な解の表示などの一般論の構築ができた。 今年度は,Fuchs型の線形常微分方程式の一般論について得られた結果を整理することができ,パラメータが特殊な場合などの研究も見通しがよくなり,多くの一般的結果が得られた。 さらに,Fuchs型で得られた新しい理論が不確定特異点の場合も有効であることが分かって,現在進めている研究の方向の有効性が確かめられた。
|
Strategy for Future Research Activity |
この研究で得られた成果を,細部の証明も含めて論文としてまとめて出版する。 不確定特異点も許した場合の研究を本格的に行うために、現在までに知られている結果を,確定特異点型の時に得られた新しい展開を念頭に置きつつ,新しい視点でまとめて整理する。 分岐を許した不確定特異点の場合の一般的研究の糸口をつかむため,その古典極限を考えて同時に研究していく。 代数解析方法で,新たに得られた微分方程式の理論の表現論や積分幾何への応用を行う。
|