2009 Fiscal Year Annual Research Report
LFVミュー粒子崩壊を究極感度で精密測定する測定器システム
Project/Area Number |
20244021
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森 俊則 The University of Tokyo, 素粒子物理国際研究センター, 教授 (90220011)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大谷 航 東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 助教 (30311335)
岩本 敏幸 東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 助教 (20376700)
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Keywords | 素粒子実験 / 国際協力 / ミュー粒子 / 超対称性 / 力の大統一 |
Research Abstract |
前年度に引き続き、新しい光センサーを用いた液体キセノンガンマ線測定器の開発研究が行われた。 高量子効率光電子増倍管については前年度液体キセノン中での動作は確認されたものの、常温で確認された量子効率の改善は低温では観測されていなかった。 本年度は光電面物質を改良した結果、暫定的な結果ではあるが低温でも20-50%程度量子効率を改善することに成功した。もう一つの光センサーの候補であるMPPCについては、昨年度製作した窓なしタイプMPPCの動作試験が行われ、アルファ線源により発生したシンチレーション光の検出に成功した。 更にシンチレーション光の検出に最適化したMPPCの層構造の検討も開始した。また、液体キセノン中の対流現象が検出器性能に影響を与える可能性が指摘された。そこで液体キセノンの温度分布の安定性を高めるため、現在使用中のパルスチューブ冷凍機の冷凍能力向上に関する研究が行われた。その結果、冷凍機コンプレッサーのパワーを上げることで冷凍機冷凍能力を改善できることが判明した。 陽電子スペクトロメータに関しては、現在の測定器分解能を制限しているさまざまな要因に関する検討が行われ、信号波形におけるノイズ成分が大きな寄与をしていることが判明した。ノイズ源の特定およびその対処方法についての研究の結果、問題のノイズ成分の一部は大幅に低減できることがわかった。 更に信号波形からノイズ成分を取り除く解析アルゴリズムの検討も開始した。また前年度行われた検出器物質の測定効率に与える影響についての研究結果を受け、極薄ケーブルの選定とその特性試験が行われた。選定されたケーブルの物質量はMEG実験で使用しているケーブルのおよそ4分の1であり、このケーブルの使用により測定効率の改善が期待できる。薄肉ケーブルによる信号伝送特性の悪化が懸念されていたが、研究の結果信号損失はほぼ問題無いレベルであることが判明した。
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