2008 Fiscal Year Annual Research Report
広視野ガンマ線カメラを用いた気球実験によるMeV領域ガンマ線天体観測の開拓
Project/Area Number |
20244026
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
窪 秀利 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 助教 (40300868)
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Keywords | 天体観測 / MeVガンマ線 / 気球実験 / コンプトンカメラ / ガス検出器 / シンチレータ |
Research Abstract |
本研究は、X線・ガンマ線領域で、天体観測が最も遅れているMeVガンマ線領域を開拓すべく、ガンマ線が検出器中でコンプトン散乱した際の反跳電子の3次元飛跡を測定する新しい検出原理に基づいた、高感度広視野のコンプトン散乱型ガンマ線カメラを用いた気球実験を推進することを目的とする。平成20年度に、以下の成果を得た。(1)8×8chのマルチアノード型光電子増倍管に、GSOシンチレータ結晶(6mm×6mm×13mm)の8×8アレイを取り付け、光電子増倍管読出し回路を接続し、ガス検出器で散乱したガンマ線の2次元入射位置とエネルギーを測定するシンチレータ検出器を製作した。(2)気球実験では消費電力の制限が厳しいため、シンチレータ検出器の読出し回路の省電力化を行った。(3)コンプトン反跳電子の3次元飛跡を捉えるガス検出器を構成する、微細電極型ガス比例計数管、ドリフトケージ、および、ガス封じ切り型耐圧容器を製作した。(4)ガス検出器からの信号を省電力で読み出すために、高エネルギー加速器研究機構と共同で開発しているCMOS型ASICをガス検出器に接続するための回路基板を製作し、ガス検出器からの信号を取得した。(5)30cm角コンプトンカメラを用いて、エネルギーの異なる2つの線源のイメージングに成功し、角度分解能とエネルギー分解能を測定した。(6)ガス検出器中の3次元飛跡を検出する回路の処理法を改良し、位置分解能および検出効率を向上させた。(7)気球高度の大気中の宇宙線が、検出器周囲の物質と反応して生成するバックグランドをシミュレーションし、2006年に行った気球実験のバッググランドの定量的評価を行った。
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