2010 Fiscal Year Annual Research Report
広視野ガンマ線カメラを用いた気球実験によるMeV領域ガンマ線天体観測の開拓
Project/Area Number |
20244026
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
窪 秀利 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教 (40300868)
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Keywords | 天体観測 / MeVガンマ線 / 気球実験 / コンプトンカメラ / ガス検出器 / シンチレータ |
Research Abstract |
本研究は、X線・ガンマ線領域で、天体観測が最も遅れているMeVガンマ線領域を開拓すべく、ガンマ線が検出器中でコンプトン散乱した際の反跳電子の3次元飛跡を測定する新しい検出原理に基づいた、高感度広視野のコンプトン散乱型ガンマ線カメラを用いた気球実験を推進することを目的とする。平成22年度に、以下の成果を得た。(1)平成21年度に続き、8×8chのマルチアノード型光電子増倍管に、GSOシンチレータ結晶(6mm×6mm×13mm)の8×8アレイを取り付け、気球搭載用に開発した省電力の光電子増倍管読出し回路および高圧発生回路を接続し、ガス検出器で散乱したガンマ線の2次元入射位置とエネルギーを測定するシンチレータ検出器を増設し、検出効率を向上させた。(2)ガス検出器からの信号を省電力で読み出すために、高エネルギー加速器研究機構と共同で開発しているCMOS型ASICをガス検出器に接続するための回路基板を製作し、ガス検出器からの信号を取得した。 (3)30cm角コンプトンカメラのシミュレーターを開発し、実機の角度分解能および検出効率と比較を行い、シミュレーターの改良を行った。(4)ソフトウエアによる、ガス検出器の飛跡判定の一部をハードウエア(FPGA回路)で処理することにより、測定デッドタイムを減らすことができた。(5)前回の気球実験における観測データ解析および検出器のバックグランドシミュレーションを行い、宇宙背景ガンマ線および大気拡散ガンマ線の観測結果を論文発表した。(6)次回の気球実験で予想される、天体ガンマ線およびバックグランドのエネルギースペクトルのシミュレーションを行い、感度向上のためのシンチレータ検出器の配置最適化を行った。
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