2008 Fiscal Year Annual Research Report
ミューオン・ビームのイオン化冷却実証実験の国際的展開
Project/Area Number |
20244029
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
久野 良孝 Osaka University, 大学院・理学研究科, 教授 (30170020)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 朗 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教 (40362610)
吉田 誠 大阪大学, 大学院・理学研究科, 特任研究員 (70379303)
有本 靖 大阪大学, 大学院・理学研究科, 特任研究員 (90379280)
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Keywords | 加速器 / イオン化冷却 / MICE / ミューオンコライダー / ニュートリノファクトリ / ミューオン飛跡検出器 / 液体水素減速材 / シンチレーティング・ファイバー |
Research Abstract |
イオン化冷却は、ミューオン・ビームの広がり(エミッタンス)を小さくするための革新的な粒子ビーム加工技術のひとつである。その原理は以下のようである。まずミューオンを物質中に通過させてイオン化損失によってその運動量の進行方向成分及びそれに垂直な方向の成分ともに減少させる。その後高周波加速電場によって進行方向のみ加速して運動量の進行方向成分のみを回復させる。これを多数回繰り返すことにより、ミューオン・ビームを(進行方向に対する)平行ビームに変えていく。この方法はミューオンにのみ採用できる特別な方法である。このミューオン・ビームのイオン化冷却は、ニュートリノファクトリやミューオンコライダー将来計画を実現するために基幹となる技術である。しかし、その実証実験はなされておらず、その検証が長らく待たれていた。そして満を期して、国際共同実験として、英国ラザフォードアップルトン研究所でMICE(International Muon Ionization.Cooling Experiment)が発足し準備を進めてきた。大阪大学を中心とする日本グループもMICE実験に参加し、ミューオンの運動量をイオン化冷却前後で正確に測定するミューオン飛跡検出器やミューオンのエネルギーを減速する液体水素減速材などの設計と製作を担当している。ミューオン飛跡検出器では多重散乱を少なくするために極薄のシンチレーティング・ファイバーを用いている。また、液体水素は減速材での多重散乱を防ぐために必要である。さて、平成20年度には、大型液体水素減速材を1台製作した。また、飛跡検出器については日米英の共同で製作した。必要台数のうち、1台については宇宙線を使ってその性能評価を行っている。平成21年度からはビームを使って調整実験が開始される予定である。
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