2010 Fiscal Year Annual Research Report
ミューオン・ビームのイオン化冷却実証実験の国際的展開
Project/Area Number |
20244029
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
久野 良孝 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30170020)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 朗 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教 (40362610)
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Keywords | 加速器 / イオン化冷却 / MICE / ミューオンコライダー / ニュートリノファクトリ / ミューオン飛跡検出器 / 液体水素減速材 / シンチレーティング・ファイバー |
Research Abstract |
イオン化冷却は、ミューオン・ビームのエミッタンスを小さくするための革新的な粒子ビーム加工技術のひとつである。その原理は以下のようである。まずミューオンを物質中に通過させてイオン化損失によってその運動量の進行方向成分及びそれに垂直な方向の成分ともに減少させる。その後高周波加速電場によって進行方向のみ加速する。これを多数回、繰り返すことにより、ミューオン・ビームを平行ビームに変えていく。この方法はミューオンにのみ採用できる方法である。このミューオン・ビームのイオン化冷却は、ニュートリノファクトリやミューオンコライダー将来計画を実現するために基幹となる技術である。しかし、その実証実験はなされておらず、その検証が長らく待たれていた。そして国際共同実験として、英国ラザフォードアップルトン研究所(RAL)でMICE(Muon Ionization Cooling Experiment)を進めてきた。大阪大学を中心とする日本グループもMICE実験に参加し、ミューオンの運動量をイオン化冷却前後で測定するミューオン飛跡検出器やミューオンを減速する液体水素減速材を担当している。ミューオン飛跡検出器では多重散乱を少なくするために極薄のシンチレーティング・ファイバーを用いている。また、液体水素は減速材での多重散乱を防ぐために必要である。さて、平成22年度に2台目の液体水素減速材をRALに送った。RAL研究所ではミューオン・ビームを使ってStep1実験が完了した。現在データ解析を行っており、論文にする予定である。超伝導ソレノイド磁石にトラブルがあり、修理を行っている。この遅延を回復するために、実験の進行を加速する計画が進んでいる。
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