2008 Fiscal Year Annual Research Report
時間反転不変性の破れ探索実験用高精度ミュオン偏極度測定装置の開発
Project/Area Number |
20244040
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
今里 純 High Energy Accelerator Research Organization, 素粒子原子核研究所, 教授 (40107686)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五十嵐 洋一 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教 (50311121)
LIM Gei-Youb 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (90332113)
清水 俊 大阪大学, 理学研究科, 助教 (60294146)
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Keywords | 素粒子物理学 / J-PARC TREK実験 / 時間反転不変性破れ / K中間子崩壊 / ミュオン横偏極 / 偏極度計 / ドリフトチェンバー / 高対称性電磁石 |
Research Abstract |
(1)プロトタイプチェンバーの作成:ミュオン偏極度の測定は、偏極度計内のミュオンストパーに停止した正ミュオンが崩壊して生成する陽電子の角度分布非対称度の計測による。今年度は選定されたストッパー材料を用い、1ユニットの1/5厚さのプロトタイプチェンバーを製作した。セル形状などの詳細設計は電場解析プログラムGAFIELDを用いて行い、セルサイズは長さ2.5cm幅0.8cmのドリフトチェンバーとした。精密測定用のチェンバーとして、高い部材の加工精度や全体の組み立て精度が要求される。本プロトタイプでも、これらについて最適な条件を見つける試みを行った。完成したプロトタイプは、KEK富士実験室の電子線テストビーム(FTBL)を用い試験を実施した。細長いセルの各所で検出効率が十分に高いこと、電荷分割法によるワイヤー方向座標の位置決定精度が十分に高いことが確かめられた。また、このプロトタイプでは、数種類のワイヤーを試験し、最適なワイヤーの選定を行った。 (2)ミュオン磁石の設計及び製作:ミュオン磁石はミュオンのスピン運動を左右する重要な要素となる。非常によくアラインされた磁場をミュオンストッパー上に発生し、横偏極成分を保持する。3D磁場計算に基づき、1台のプロトタイプ磁石を製作し、中心面に対する左右の磁場分布の非対称度を測定した。製作は磁極加工の精度及び巻き線の対称性などに細心の注意を払って、対称度の高い磁石とした。今回の1ユニットでの試験時では、リターンヨーク無しの条件で、左右の非対称度を検知することに重点を置いた。この目的のために左右コイルを逆方向に励磁し、中心付近の零磁場の分布を、感度の高いフラックスゲートメータで測定する新しい方法を考案した。結果は現在解析中であるが、この方法の妥当性が示されることが期待される。
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Research Products
(6 results)