2009 Fiscal Year Annual Research Report
反転対称性の破れに起因する表面ナノ構造体の巨大スピン分裂バンド構造
Project/Area Number |
20244045
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
坂本 一之 Chiba University, 大学院・融合科学研究科, 准教授 (70261542)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 昭夫 広島大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (00272534)
小田 竜樹 金沢大学, 理工研究域数物科学系, 准教授 (30272941)
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Keywords | スピン軌道相互作用 / スピン分裂電子バンド / 角度分解光電子分光 / スピン分解光電子分光 / 第一原理計算 |
Research Abstract |
本年度の研究成果は以下の通りである。 Si(111)表面上に1原子層のビスマス(Bi)を吸着させて形成されるβ(√<3>×√<3>)再構成表面の電子構造を高分解能角度分解光電子分光で、スピンの情報をスピン分解光電子分光で測定した。その結果、半導体表面でこれまで報告のない巨大なラシュバ効果を観測したのみでなく、ラシュバ効果の発現に不可欠であると考えられていた"時間反転対称性"のない表面ブリルアンゾーンの対称点において"特異な"ラシュバ効果が発現することと、"時間反転対称性"のある対称点においても通常は閉じているスピン構造が閉じていない"特異な"ラシュバ効果が発現することを観測した。これらの結果は、時間反転対称性はあるが空間反転対称性が破れることによって発現するとしてきたこれまでのラシュバ効果の概念を覆すものである。また、第一原理計算などより、これら特異なラシュバ効果が表面の二次元構造の対称性に由来することも明らかにした。 面内の異方性がラシュバ効果に与える影響を明らかにするためには2回対称性を有する試料でのラシュバ効果の測定が不可欠である。そこで、2回対称性を有するSi(110)-(1×1)表面にタリウム(Tl)を吸着させ、Tl/Si(110)-(1×1)表面を作成することを試みた。基板温度を400K程度に保ちながらTlを蒸着することでTl/Si(110)-(1×1)表面が作成可能であることを低速電子線回折などで確認し、その回折パターンを解析することによって表面原子構造に関する知見を得た。
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Research Products
(9 results)