2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20244052
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
野尻 浩之 Tohoku University, 金属材料研究所, 教授 (80189399)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大島 勇吾 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (10375107)
熊谷 健一 北海道大学, 大学院・理学研究院, 教授 (70029560)
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Keywords | 磁性 / フラストレーション / ナノクラスター / 分子磁石 / 量子ダイナミック |
Research Abstract |
三角スピンリングは量子自由度としてのスピンカイラリティを有し、これから構成される三角リング結合ナノ磁性クラスターは、カイラリティ自由度のあるフラストレートした多様なネットワークの量子系として、ユニークである。20年度は、三角構造を有する分子クラスターならびにそれをベースとする多面体、チューブ等の特異な幾何学構造を持つ分子磁性体において、基底状態とダイナミックスを研究した。三角量子スピンナノチューブに関しては、熱測定から2つの全く異なる励起の存在を明らかにした。これらは、2つの自由度が存在する証拠であり、三角リング結合系に関する基盤となる成果である。また、三角量子スピンナノチューブのNMR測定を稀釈冷凍機温度域まで行い、プロトンNMR信号の線幅ならびに緩和時間の温度変化から低エネルギー域の励起がギャップレスであることを明らかにした。多面体クラスターにおいては、スピン凍結による磁気比熱を測定し、スピンの大きさと凍結温度の関係を系統的に研究した。さらに、ケッギン構造を中心とした分子クラスターの構造と磁気相関に関して系統的に研究し、対称性と混成の関連を明らかにした。また、コヒーレンス操作を行うために、核スピンを制御した物質群の開発、探索を行い、新しい量子スピン物質としてCr5+イオンを含む1次元鎖、2次元ダイマー系の新物質を見出して、磁場誘起相転移を比熱、ESR、磁化過程により研究した。その結果、これらの物質は極めて等方的な量子スピン系であることが確立した。関連研究としてカゴメ格子や希土類分子磁石に関する研究を行い、磁性と構造の相関を明らかにした。
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Research Products
(12 results)