2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20244052
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
野尻 浩之 Tohoku University, 金属材料研究所, 教授 (80189399)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大島 勇吾 東北大学, 理化学研所・加藤分子物研究室, 研究員 (10375107)
熊谷 健一 北海道大学, その他, 名誉教授 (70029560)
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Keywords | 磁性 / フラストレーション / ナノクラスター / 分子磁石 / 量子ダイナミック |
Research Abstract |
三角スピンリングは量子自由度としてのスピンカイラリティを有し、これから構成される三角リング結合ナノ磁性クラスターは、カイラリティ自由度をもち、フラストレートした多様なネットワークの量子系として、ユニークである。21年度は、奇パリティをもつスピン系の量子トンネル機構を理解するために,トンネル反転率の絶対値を測定できるシステムを新たに開発し、スピンが100%近く初期偏極をした状態から準位交差点を高速で通過する場合のトンネル確率を得ることに成功した。その結果、Cu^<2+>の稀釈系において、スピン間の双極子相互作用を無視できる極限においては、反転率が1になるという結果を得た。この結果は、量子トンネルにおけるパリティを考える場合、電子スピンのみならず核スピンを考慮する必要があることを示しており、核スピンの偏極制御で電子スピンの量子トンネル確率を制御する可能性を開くものである。核スピンを制御した物質系の開発においては、元素置換の可能な酸化物Ba_3Cr_2O_8において、相図の異方性の原因がDM相互作用により疑似回転対称性が破れるためであることを明らかにした。スピンチューブにおいては、熱測定を推進し、その結果に対する理論的な考察を進めた。その結果、低温でのギャップレス的な振るまいが有効スピン鎖模型で記述できること、第1励起モードのエネルギーから高温側のショットキー比熱が説明できることを見出した。その一方で、2つの励起モード間の重みを支配するパラメータに関しては、今後の検討が必要である。また、新しい三角構造のネットーワーク探索を進め、Re-3d系の分子磁性クラスターの磁気特性の系統的な研究を進め、化学的な系統性を見出した。
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Research Products
(12 results)