2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20244052
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
野尻 浩之 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (80189399)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大島 勇吾 理化学研究所, 加藤分子物性研究室, 研究員 (10375107)
熊谷 健一 北海道大学, その他, 名誉教授 (70029560)
|
Keywords | 磁性 / フラストレーション / ナノクラスター / 分子磁石 / 量子ダイナミックス |
Research Abstract |
三角スピンリングは量子自由度としてのスピンカイラリティを有し、これから構成される三角リング結合ナノ磁性クラスターは、カイラリティ自由度をもち、フラストレートした多様なネットワークの量子系として、ユニークである。22年度は、スピンチューブの比熱に関する理論的な考察を進め、低温でのギャップレス的な振るまいが有効スピン鎖模型で記述できるS=3/2のラッテンジャー液体の希な例になっていることを明らかにした。さらに、高エネルギー領域の励起に関して考察を進め、カイラリティの自由度が絡む励起ギャップの存在を強く示唆する結果を得た。さらに水素結合の同位体効果に関する研究により、比熱のショットキーピークのシフトを見出し、相図との対応を検討した。その結果、水素結合が磁気ネットワークを担っているという、スピンチューブ模型を支持する結果を得た。 異方性のない三角スピンリング結合系として、有機ラジカルによる三角クラスターを3次元的に結合したネットワーク系の研究を行った。分子稀釈系に関して磁化測定を行うことで、孤立した三角リングの磁気相互作用を評価すると共に、磁化過程に特徴的なステップを見出した。さらに比熱測定結果との相関を検討し、2つのエネルギー領域が現れることを説明できる有効的な模型を提案した。 Keplerateクラスターの研究に関しては、タングステン系の新しいS=1/2系のクラスターを見出し、磁化過程とESRにより相互作用の検討を行い、モリブデン系に比べて若干相互作用が小さくなっていることを示唆する結果を得た。さらに関連研究として、古典的なFeスピンをもつ三角格子系に於いて、1/3磁化プラトーを見出し、量子系に対する参照物質を得ることに成功した。また、カゴメ格子関連物質に於いて、ESRにより反強磁性共鳴を見出し、スピン波モードとその磁場依存性に関して定量的な情報を得ることに成功した。
|
Research Products
(20 results)