2011 Fiscal Year Annual Research Report
極低温磁化・比熱・誘電測定による磁場誘起量子相転移の研究
Project/Area Number |
20244053
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
榊原 俊郎 東京大学, 物性研究所, 教授 (70162287)
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Keywords | メタ磁性 / 重い電子系物質 / 価数転移 / マルチフェロイクス / 三角格子 / 磁力計 / ダイマー系物質 / 三重項状態 |
Research Abstract |
1.A1核スピン磁化測定による極低温高磁場中の温度計校正 A1核スピン磁化は低温高磁場下でもキュリー則に従うので温度計校正に利用できる.今年度は高感度にA1核スピン磁化の測定が可能なキャパシタンスセルの開発を行った.磁化検出用のキャパシタンスセルの可動電極の反磁性とA1のパウリ常磁性をほぼ相殺する工夫を行い,核スピン磁化だけを高精度に分離して測定することに成功した.これを用いてRuO抵抗温度計の1K以下の極低温における15Tまでの温度校正の実用化がほぼ達成できた, 2.S=1/2カゴメ格子反強磁性体ボルボサイト単結晶試料の磁化測定 最近合成されたボルボサイト微小単結晶試料の磁化測定を行うために超高感度のキャパシタンスセルの試作を行った.これを用いてボルボサイト微小単結晶の複数個試料(計130マイクログラム)について磁化測定を行い,1K以下の秩序状態における磁化過程を明らかにした.その結果,結晶のab面に垂直な磁場方向についてI相からII相への磁場誘起転移が1次相転移であることがわかった.また磁場温度相図を作製し,粉末試料のNMR測定による相図と一致することを確認した. 3.スピンギャップ系物質YbAl3C3の磁場温度相図 YbA13C3の単一微小単結晶の磁化測定を引き続き行い、一重項基底状態から三重項状態への磁化ステップの温度磁場依存性を調べた。その結果、中間磁場領域では秩序状態を持たない可能性が高いことを明らかにした。 4.三角格子反強磁性体RbFe(MoO4)2の強誘電転移と磁気相図 RbFe(MoO4)2は4Kにおいて反強磁性転移(120度構造)とともに強誘電性を示すことが知られている.この強誘電性がFeスピンの120度構造によるカイラリティによって発生しているかどうかに興味がある.RbFe(MoO4)2はc軸方向の磁場下で120度構造からカイラリティを持たない磁気構造へと相転移するので,この磁場方向で磁化測定と強誘電測定の両方を行い,強誘電性の発生・消失がカイラリティのそれと一致していることを明らかにした,
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