2008 Fiscal Year Annual Research Report
高分解能非弾性X線散乱法を利用した超臨界金属流体の特異な動的挙動の解明
Project/Area Number |
20244061
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
乾 雅祝 Hiroshima University, 大学院・総合科学研究科, 教授 (40213136)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星野 公三 広島大学, 大学院・総合科学研究科, 教授 (30134951)
梶原 行夫 広島大学, 大学院・総合科学研究科, 助教 (20402654)
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Keywords | 金属-非金属転移 / 超臨界流体 / 動的構造 / 静的構造 / 構造物性 / 液体金属 / 溶融塩 |
Research Abstract |
超臨界金属流体が示す特異な動的挙動の起源を明らかにするため、高分解能非弾性X線散乱実験用高温高圧容器を開発する。また、比較のために液体金属や溶融塩の静的・動的構造を調べる。これらの研究を進めることを目的として、本年度は以下のようにを実施した。 1.(財)高輝度光科学研究センター(SPring-8)に設置する新しい高温高圧容器の設計・製作を行い、BL35XUビームラインに設置して試運転を行った。所定の25MPaの高圧が達成され、超臨界金属流体の特異な動的挙動の解明に利用できるようになった。 2.イタリアとの国際共同研究として、1600℃の高温まで鉄-ニッケル-イオウ3元液体合金の高分解能非弾性X線散乱実験を(財)高輝度光科学研究センター(SPring-8)で行った。 3.広島工業大学との共同研究として液体ガリウムの横波音波の測定をSPring-8で行った。横波音波は30年以上前から理論的に予言されていたが、本実験で初めて確認された成果である。 4.溶融塩を対象とするSPring-8での実験結果から、共有結合性を有するイオン性液体である溶融ハロゲン化銀やハロゲン化銅の動的構造因子が、純粋なイオン性液体と異なっていることを見出し、神戸市で開催された国際学会で報告した。 5.膨張した高温高圧下の流体イオウのX線小角散乱測定をSPring-8で行い、密度の低下と共に鎖状分子が2原子分子に変化する分子性流体特有の密度ゆらぎに関する情報を得た。 6.遷移金属である液体鉄のX線回折実験をSPring-8で行い、モンテカルロ法を用いて3次元原子配置を調べた結果、液体鉄中に正20面体クラスターが形成されている、より直接的な証拠を得た。これは体積膨張とは逆の過程、すなわち過冷却液体がガラス転移するメカニズムを理解する上でも重要な成果である。
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Research Products
(4 results)