2009 Fiscal Year Annual Research Report
高分解能非弾性X線散乱法を利用した超臨界金属流体の特異な動的挙動の解明
Project/Area Number |
20244061
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
乾 雅祝 Hiroshima University, 大学院・総合科学研究科, 教授 (40213136)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星野 公三 広島大学, 大学院・総合科学研究科, 教授 (30134951)
梶原 行夫 広島大学, 大学院・総合科学研究科, 助教 (20402654)
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Keywords | 金属-非金属転移 / 超臨界流体 / 動的構造 / 静的構造 / 構造物性 / 液体金属 / 溶融塩 |
Research Abstract |
超臨界金属流体が示す特異な動的挙動の起源を明らかにするため、昨年度(財)高輝度光科学研究センターに設置した高温高圧容器を用いて、流体Seならびに流体As_2Se_3の高分解能非弾性X線散乱実験を行った。またこれに関連して、液体金属の短・中距離構造を放射光を用いたX線散乱実験を行い調べた。これらの実験により、以下のような結果が得られた。 1. 融点(217℃)近傍で半導体的性質を有する液体Seは共有結合で結ばれた2配位鎖状構造を有する。温度と圧力を上げると液体Seは、気-液臨界点近傍で金属的な流体に変化することが知られている。我々は、非弾性X線散乱測定により伸縮モードを観測して、共有結合の温度変化を調べた。融点近傍で数ピコ秒の寿命をもつと言われている共有結合が、1200℃の高温では0.1ピコ秒まで短くなることがわかった。これは平均構造は2配位であるが共有結合の様子が温度の上昇と共に大きく変わることを示唆しており、金属化のメカニズムを理解する上で重要な結果である。 2. 加圧して温度を上昇させると約1000℃で半導体から金属に転移することが知られている流体As_2Se_3の高分解能非弾性X線散乱実験を500℃から1400℃の温度範囲で行い、動的構造因子を観測することに成功した。その結果、散乱ベクトルの大きさQが1.5nm^<-1>から9nm^<-1>の範囲の音響モードの励起エネルギーは、Qに依存性して大きく変化することがわかった。その意味を明らかにするため、現在詳細な解析を進めているところである。 3. 融点が比較的低いが沸点は1000℃以上の高温にある液体鉛や液体ビスマスのX線回折ならびにX線小角散乱実験を融点から1500℃の温度範囲で行い、静的構造因子を得た。これらの液体金属の局所構造と中距離ゆらぎの特徴を把握するため、現在解析を進めているところである。
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Research Products
(5 results)