2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20244067
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
土井 正男 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 教授 (70087104)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 裕史 東京大学独立行政法人産業技術総合研究所, ナノテクノロジー部門, 主任研究員 (10466790)
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Keywords | 高分子 / 破壊力学 / キャビテーション |
Research Abstract |
高分子の粘着・剥離現象は、分子スケールからメソ・マクロなスケールにわたる、多階層的な現象である。また、材料内部での大変形・界面破壊などを伴うなど複雑な現象であるため、適切に単純化を行いながら問題に取り組む必要がある。H20年度は、第1段階として、以下のような実験・理論研究を行なった (1)剥離過程のメソスケールモデリング これまで、剥離時に粘着剤内部に発生するキャビティの生成・成長を記述したモデルは提案されていたが、実際の剥離過程で重要となる、粘着剤・被着体界面でのキャビテーショに対するモデル化はほとんど行われていなかった。今回は、界面キャビテーション過程を記述するメソスケールモデリングを行い、解析解を導出することに成功した。さらに、実験結果と比較したところ、実験結果をよく再現できることがわかった。 (2)ナノスケールの接触・剥離シミュレーション ナノスケールの接触・剥離過程は、最近精力的に行なわれている高分子表面でのダイナミクスを理解するうえで大変重要であるが、あまり研究されていない。今回我々は、JKRコンタクトのナノスケールシミュレーションを行ない、粘着・剥離時の高分子の挙動とフォースカーブを関連付けることに成功した。 (3)粘着剤の接触ダイナミクス 粘着剤が被着体に接触していく過程は、工業プロセス上重要であるにもかかわらず、これまでほとんど基礎研究が行なわれていない。今回我々は、粘着シートを被着体に定速度で強制的に接触させる際の、粘着剤の接触挙動を詳細に調べた。ある下降速度を境に接触の仕方が大幅に変化することを見出した。 以上の成果は、応用上重要な知見を与えるとともに、粘着・剥離現象に関する新たな視点をもたらすものである。
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