2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20244085
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
荒井 章司 金沢大学, 自然システム学系, 教授 (20107684)
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Keywords | モホ遷移帯 / オマーン・オフィオライト / MORB(中央海嶺玄武岩) / クロミタイト / リサイクル起源 / マントル |
Research Abstract |
北部オマーン・オフィオライトのモホ遷移帯でMORB(中央海嶺玄武岩)と平衡な(単斜輝石の化学組成上)ハルツバーガイト(斜長石を欠く)が見いだされた。これはMORBと平衡な(もしくはMORB組成を有する)ガブロバンドの周辺に特に顕著に見いだされ,MORBとマントル・ハルツバーガイトの反応の結果形成されたものである。従って,MORBはモホ遷移帯で形成されたものではなく,下位の上部マントルで形成されたものである(すなわち,モホ遷移帯に到達した時には既にMORB組成を有していた)。今後はMORB形成の場を確かめるべく,上部マントルのダナイトを詳しく検討する必要がある。 モホ遷移帯に多産するポディフォーム・クロミタイトについて,その成因の再検討を始めた。チベットなどのオフィオライトから報告されているダイヤモンド等を含むいわゆる超高圧クロミタイトは深部リサイクル起源(最上部マントルでマグマ的にできたものが,地球深部を循環して再び現れたもの)であることを提唱した。また,オマーンのワジ・ヒルティにおいて露出のよい2種類のクロミタイト(調和性および非調和性)を予察的に検討した。このうち,調和性のもののみに超高圧クロミタイトの特徴の一つであるスピネル中のシリケートのラメラを見いだした。組織および白金族元素の特徴からもこれら2つのタイプのクロミタイトは全く異なる起源を有することが判明した。調和性のものはリサイクル,非調和性のものはその場でできたキュムレートと考える。
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