2010 Fiscal Year Annual Research Report
光と電場による反応制御と新奇外場応答機能物性の発現
Project/Area Number |
20245001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
太田 信廣 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (70113529)
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Keywords | 光反応ダイナミクス / 光機能物性 / 電場効果 / 超伝導 / 光誘起相転移 |
Research Abstract |
BEDT-TTFを電子供与体とする物質の中で、温度を変化させた時に金属と絶縁体の相転移を示すα-(BEDT-TTF)_2I_3は常温で金属の性質を示す有機電荷移動錯体である。またκ・(BEDT-TTF)_2[Cu(CN)_2]Brは常温では金属であるが低温で超伝導特性を示す物質である。これらの物質を主な対象として電気伝導度が光照射により電場印加によりどのような変化を示すかを調べた。パルスレーザーにより可視光を照射し、それと同期した光電流の時間変化を独自に開発した装置を用いて精密に測定し、電気伝導度への光励起効果を調べた。その結果、光励起により電気伝導度が変化すること、その効果は熱効果とは異なる光励起特有の効果であることを明らかにすると共に、超伝導転移温度近傍で特異的な振る舞いを示すことを明らかにした。またイオン固体のイオン伝導度への光照射効果を調べ、励起波長に依存した、温度に依存した変化を示す事を明らかにした。さらには、π-共役ポリマーやナノ粒子、さらには種々の光励起ダイナミクスが電場印加により大きな影響を受けることを明らかにした。たとえば有機電界発光材料として良く知られているパラポリフェニレンビニレン(PPV)の発光スペクトルへの電場効果を示す電場発光スペクトルは蛍光が電場により消光を示す事、しかもその消光の大きさは励起エネルギーが大きくなるにつれて増加することがわかった。また発光減衰曲線に対する電場効果の実験から、電場消光の機構として、主に励起された準位から発光状態への緩和過程が電場効果を受け、発光状態の生成量が減少するためであることがわかった。
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