2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20245005
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川崎 昌博 Kyoto University, 工学研究科, 教授 (70110723)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
薮下 彰啓 京都大学, 工学研究科, 助教 (70371151)
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Keywords | 宇宙科学 / 大気現象 / 化学物理 / 環境変動 / 原子・分子物理学 |
Research Abstract |
人為的な汚染源から比較的離れている南北極域においては、人為汚染物質の長距離輸送に加え雪氷面における不均一反応が、対流圏微量成分の変動に重要な役割を担っていると考えられる。とくに、氷雪の表面における硝酸イオンの光分解が複雑かつ重要である。極域対流圏空気ではオゾン濃度が40ppmにも達する。そこで、真空チャンバーとレーザーイオン化分光法を組み合わせた実験手法により、窒素酸化物やイオンを氷表面に吸着させて、光照射によって脱離生成するO原子やOHラジカルを直接検出した。このような低温でのイオン再結合や、活性種の直接的に生成してくる反応機構は今まで提案されていないので、これを実証したことは従来の酸化反応モデルに影響をあたえた。特にOHラジカルの新しい発生源として。「雲核に吸着した硝酸の光化学反応によるOHラジカルの生成」は、今までに無い新しい観点であり、従来の未解決であった雲中の酸化反応にとって新しい反応機構となる。実大気条件においてのOH生成はCRDS装置を用いても実証を試みたが、反応性が高いのでうまく行かなかった。つぎに、最表面は氷に覆われている星間塵からなる星間分子雲領域には強い真空紫外光が存在する.このため微粒子表面に吸着した氷の光分解を実施した。その際生じた水素原子の再結合反応・引き抜き反応から生成する励起水素分子の振動・回転・並進状態は、その反応ダイナミックスに依存することがわかった。こうして生成する振動励起分子と基底状態分子の反応性は、宇宙空間反応において大きな違いが見られる。そこで光脱離する水そのものの振動・回転温度を計測した。励起分子の生成を実証したことで、極低温空間における今までに無い化学反応系の提案ができた。
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