2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20245005
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川崎 昌博 Kyoto University, 工学研究科, 教授 (70110723)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
薮下 彰啓 京都大学, 工学研究科, 助教 (70371151)
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Keywords | 宇宙科学 / 大気現象 / 化学物理 / 環境変動 / 原子・分子物理学 |
Research Abstract |
本研究では、従来から用いられてきた赤外吸収分光法などの静的な計測手段でなく、電子励起した状態と表面との相互作用をダイナミカルにとらえることの出来る高感度レーザーイオン化法をもちいた表面光脱離分光法や、液体-気体界面反応からの生成物であるラジカルなどをその場観測できるキャビティーリングダウン分光法を用いて、いろいろな形態の水界面と吸着(溶解)分子との動的な相互作用を解明してきた。本年度は、光分解により表面から出てきた直後のフラグメントの並進エネルギーやスピン励起状態の観測データに基づいて、冷却した氷表面の水分子真空紫外光分解により宇宙化学研究における酸素原子と酸素分子生成の化学反応機構を水酸基ラジカル化学反応ダイナミクスの立場から実験した結果、このような極低温表面でもホット原子・ホットラジカル反応が起こることを提案した。この結果、新しい観点の表面光化学反応を見いだし、いままで観測されてはいたが反応機構が不明確であった宇宙塵表面を覆っている氷の化学反応を理解することができた。さらに、雪や氷の界面からでも振動励起した分子、反応性の高い原子やラジカルが気相へ向かって飛び出して行き、それらが新しい反応機構を気相で起こすことを高真空装置とレーザー分光手法で直接に実証した。また、水-気体界面においてオゾンとヨウ素イオンが反応して10ラジカルやヨウ素分子が気相へ向かって飛び出して行くことを確認し、これが表面に偏析した有機物イオンにより阻害されることを確認した。この様な結果は、宇宙化学、エアロゾル光化学反応の重要な反応過程における新しい観点を提供できることを実証した。
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