2009 Fiscal Year Annual Research Report
ラセン型擬大環状構造の生成による柔構造の制御を利用した集積機能型超分子の構築
Project/Area Number |
20245029
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
鍋島 達弥 University of Tsukuba, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (80198374)
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Keywords | 超分子化学 / 配位結合 / 環状構造 / 協同効果 / 分子認識 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、ラセン型の擬大環状化合物などの有機-無機ハイブリッド超分子の生成による構造変換や、複数の分子間相互作用を協同的に利用してホスト分子の構造を柔構造(自由度の高い構造)から剛構造(自由度の規制された構造)へと変換することよる分子機能の制御について検討を行った。トリペプチドあるいはジペプチド部位が導入された鎖をもち、ピボット部位が窒素、炭素、あるいはベンゼン環をもつトリポダンドを各種合成し、擬大環状化合物への変換を試みた。ペプチド部位としてグリシン残基をもち、ピボット部位が窒素原子の場合は高収率で対応する擬クリプタンドに変換できるが、アラニンなど、僅かに立体障害の大きな残基とするとこの変換はかなり困難になることが明らかになった。高収率で得られたグリシン体はアニオンやカチオンと特異的な相互作用をするだけでなく、アミノ酸誘導体とも選択的に相互作用するなど、エキソおよびエンド認識を示唆する結果を得た。また光学活性部位としてビナフチル部位を有し、末端にテルピリジンをもつポダンドを合成し、これが鉄イオンと錯形成して擬クラウンエーテルとなり、生じたポリエーテル部位でユーロピウムイオンを取り込むことを見いだした。またこの時、CD強度が増大するなど、ラセン構造が制御されることが明らかになった。その他、ラセン構造をもつ金属錯体を種々合成し、ゲストの添加によるヘリシティー制御にも成功した。以上のように、外部刺激を利用して金属錯体のもつラセン構造の制御を行うことができた。次年度はこの結果を基盤に光機能など、より高度な機能と連動したラセン構造のコントロールへと研究を展開する予定である。
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Research Products
(68 results)