2010 Fiscal Year Annual Research Report
ラセン型擬大環状構造の生成による柔構造の制御を利用した集積機能型超分子の構築
Project/Area Number |
20245029
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
鍋島 達弥 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (80198374)
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Keywords | 超分子化学 / 配位結合 / 擬大環状構造 / 協同効果 / 分子認識 |
Research Abstract |
ラセン型不斉情報のメモリー、協同的なラセン型錯体の形成による超ラセン構造の構築、フォルダマー形成に伴う選択的ゲスト認識など、ラセン構造の特性を利用した高次構造の構築法および種々の新機能の発現に成功した。例えば、アキラルな外部刺激応答性のラセン型キラリティー制御を目指して合成したビナフチルポダンドは、遷移金属配位部位としてテルピリジン部位を末端に有し、光学活性なビナフチル骨核には2つのホスホリル基をもつ。この分子はテルピリジン部位で鉄と錯形成し、高収率で相当する擬大環状化合物を与えたが、ラセン型と非ラセン型の二つのジアステレオマーの混合物となった。しかしこの比率はアキラルな外部因子であるアルカリ金属やアルカリ土類金属の添加により大きく変化することを見いだした。さらに興味深いことに、この分子の結晶はラセン型ジアステレオマーのみからなり、この不斉構造をカルシウムイオンの添加によって、溶液中でも長時間保持させること、すなわちラセンの不斉情報をメモリーすることに成功した。複数のN_2O_2四座キレート配位部位をもつ含ピピリジン直鎖状配位子を用いて各種の一重らせん型錯体を合成したところ一回巻きの二核錯体が分子内のπ-πスタッキングにより非常に協同的に生成することを見いだした。さらに適切な置換基を導入することで、結晶中および溶液中で、分子間のπ-πスタッキングによる超ラセン型の一次元的な積層構造が形成することを見いだし、階層的ラセン構造形成のための新手法を確立した。また、カルシウムの添加によりフォルダマーが形成し、集積した認識場で高いアニオン選択性を発現する超分子系など、ラセン型柔構造を動的に制御することで種々の新機能を実現した。
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Research Products
(71 results)