2008 Fiscal Year Annual Research Report
サイズや次元の異なる構造単位を用いたシリカ系物質の高次構造制御
Project/Area Number |
20245044
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
黒田 一幸 Waseda University, 理工学術院, 教授 (90130872)
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Keywords | 合成化学 / ナノ材料 / メゾスコピック系 / 自己組織化 / 多孔体 |
Research Abstract |
本研究課題では、出発分子の設計によるナノ構造のデザイン、高次構造・形態の制御という概念を階層的に組み上げ、新たな無機構造設計手法の確立を目的とする。我々がこれまでに提案してきた「アルキル基を有するアルコキシシラン化合物からのメソ構造体の形成」は、出発分子の特性をメソ構造や組成、物性に直接反映できる手法の一つとして有用である。これまでに我々は、出発分子の親水部/疎水部のサイズを変えることで、ラメラ、2次元ヘキサゴナルなどのメソ構造の制御に成功している。さらに多様なメソ構造へと展開させるためには出発分子のより精密な設計が重要である。本年度は、1分子中の親水部/疎水部の比率を変化させるために、以前報告したアルキルテトラアルコキシシラン(CnSi4)よりも親水部となるシラン部位が大きくなるようアルキルラントリオール(CnSi(OH)_3)にクロロジシロキサンを用いてシリル化し、3つのジシロキサン鎖を有するアルキルヘプタアルコキシシラン(CnSi7)を新たに設計し、異なる反応条件下で得られるメソ構造体について検討した。CnSi7の^<29>SiNMRスペクトルには、アルキル鎖が共有結合したSiに対応するT^3環境のシグナルと、枝分かれした3本のジシロキサン鎖の2つの異なるSiO_4ユニットに対応するQ^1,Q^2環境のシグナルが観測された。MSスペクトルの結果も合わせ出発物質の合成を確認した。CnSi7の加水分解・縮重合反応により得られた粉末試料のXRDパターンにおいて、メソ領域の周期性を表す回折ピークが観測された。さらに、TEM観察、固体NMR分析等から、自己集合時に水の添加量を変化させることで3次元キュービック類似の構造が形成することを明らかにした。これにより、有機シロキサンオリゴマーの自己組織化により、ラメラ、2次元ヘキサゴナル構造に加えて種々のナノ構造制御が達成された。
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