2009 Fiscal Year Annual Research Report
サイズや次元の異なる構造単位を用いたシリカ系物質の高次構造制御
Project/Area Number |
20245044
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
黒田 一幸 Waseda University, 理工学術院, 教授 (90130872)
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Keywords | 合成化学 / ナノ材料 / メゾスコピック系 / 自己組織化 / ナノ粒子 / 無機有機ハイブリッド |
Research Abstract |
研究目的:本研究課題は、出発物子の設計、ナノ構造のデザイン、構造制御・形態制御という概念を階層的に組み上げ、新たな無機構造設計戦略を提案することを目的としている。そこで本年度は、アルコキシシリル基を有する種々の分子を精緻に設計し、これらを用いてナノ構造体の創製を目指す。 研究方法:本年度は(1)3つのヘキシル基を有するアルコキシシロキサンを合成し、新規ナノ粒子設計ルートの開拓と(2)複数のアルコキシ基を有するポルフィリンを設計し、ポルフィリンの配列制御を試みる。 研究成果:(1)トリヘキシルシラノールにクロロシリル基を有するオリゴアルコキシシロキサンを反応させ、オタマジャクシ型の目的分子を得た。本分子を少量の酸を含む有機溶媒と混合し平滑基板上に滴下し、シロキサン部位をコアとして、コロナにヘキシル基を有する球状ナノ粒子が規則的に配列した薄膜を得た。本球状ナノ粒子は、シロキサン部位の大きさによって、3-4nmの間で粒径を制御でき、非常に狭い粒径分布を有していた。またこのナノ粒子は、特定の有機溶媒には分散し、分散粒子は溶媒を揮発させることで規則的に再集合した。さらに、このナノ粒子はシロキサンコアにある程度の親水的な分子を包含できた。 (2)テトラフェニルポルフィリン(TPP)環のフェニル基の全てパラ位に4個(4Si)、メタ位に8個(8Si)のトリアルコキシシランを有する分子をそれぞれ合成し、界面活性剤と複合化させることで、TPPハイブリッド薄膜を得た。TPPおよび界面活性剤の量を固定した場合、8Siは4Siと比較して、高いメソ構造規則性を有していた。これは、8Siの方が加水分解後、親水性が強く、界面活性剤由来のミセルとより複合しやすいためであると考えられる。また、TPPの会合状態もSiの数によって影響を受け、8Siの方がJ会合性が高くなり、蛍光消光を抑制しやすい構造を形成することが分かった。
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