2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20245045
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
金谷 利治 京都大学, 化学研究所, 教授 (20152788)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 幸次 京都大学, 化学研究所, 准教授 (80189290)
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Keywords | 高分子結晶化 / 非平衡中間体 / シシケバブ / 前駆体 / 高次構造制御 / 放射線X線 / 精密構造解析 / マイクロビーム |
Research Abstract |
結晶性高分子の場合はそのナノメートルからマイクロメートルスケールの高次構造が物性に大きく影響を及ぼすことが知られており、その制御は該当分野の大きな課題である。本申請では、種々の非平衡中間相を経由する結晶化機構を系統的に明らかにし、高分子結晶化における新たなパラダイムを示すと同時にこのような結晶化ルートを用いて、結晶化以前の非晶構造を「非平衡中間相」により制御し、新たな高分子結晶高次構造制御方法を開拓している。 平成22年度においては、中性子散乱に供する試料の作成が間に合わず、経費の繰り越しを行ない試料の作成を行なった。しかしながら、平成23年3月11日に起こった東日本大震災の影響で日本における2つの中性子散乱施設(J-PARC/MLFおよびJRR-3)も大きく被災し、残念ながら中性子散乱実験は実施できなかった。これは、今後研究室の発展的テーマとして継続する。しかし、ながら放射光X線のマイクロビームを用いた流動誘起結晶化における中間体の研究においては、大きな進展があった。すなわち、融点以上の高温において、μmスケールの流動誘起結晶の前駆体が生成することは以前に我々の研究室で明らかにしば、その内部構造をマイクロビームを用いて調べることにより、非常に微量ながら大きな配向結晶が存在することが明らかになった。さらに、この配向結晶は融点以下の温度にクエンチすることによりシシケバブの生成の核となることが示された。このことは、シシと考えられている伸張鎖結晶が実は流動が働かなくとも、前駆体が存在すれば自発的に成長することを示唆しており、これまで全くのミステリーであった流動誘起結晶化機構の解明の糸口を示すもものであり、大きな発見である。
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Research Products
(14 results)