Research Abstract |
(1) 垂直磁気異方性材料の探索 スピン注入のための垂直磁気異方性材料として, L1_0系規則合金の一つであるCoPtおよびCoPtNiエピタキシャル薄膜を作製した. 薄膜作製基板として(100)配向MgOを用い, Ptをバッファ層とすることにより, 規則度が0.8以上, 垂直磁気異方性が5x10^6erg/cc以上の薄膜を得た. また, 膜厚を2nm程度まで減少させても垂直磁気異方性を保つことを示した. さらに, MgOをトンネル障壁とする接合を作製し, 室温で約2%, 低温で約10%の磁気抵抗効果を得た. (2) 金属ナノヘテロ構造の作製 高速パルスによりスピン注入を行うためには, 強磁性トンネル接合の接合面積を微小に加工する必要がある. そこでCoFe/Cu/CoFe構造を中心とするCPP-GMR素子構造を作製し, イオンエッチング装置, 電子ビームリソグラフィーを用いて100nmx220nmのナノピラー構造を作製した. また, CoFe/Cu/FeNiの構造とすることでフリー層の単磁区化を実現した. (3) 強磁性体内におけるスピン緩和 強磁性共鳴を用いて強磁性からスピン流を生成し, 非磁性体内を伝搬した後にもう一方の強磁性内で緩和する過程を調べた. 強磁性の膜厚を0-20nmの範囲で変化させて, 強磁性共鳴の共鳴線幅の変化を解析し, 強磁性体内の横スピン侵入長を見積もることに成功した. また, 励起層の材料, 励起層の膜厚を変化させてスピン侵入長を測定すると侵入長の見積もり値が変化することから, 理論と実験から詳細に検討する必要があることが示唆された.
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