2010 Fiscal Year Annual Research Report
金属系ナノヘテロ接合におけるスピン波励起と高周波デバイスの創製
Project/Area Number |
20246002
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
安藤 康夫 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60250726)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大兼 幹彦 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (50396454)
水上 成美 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 助教 (00339269)
永沼 博 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教 (60434023)
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Keywords | スピン流 / スピン注入 / 垂直磁気異方性 / Co/Pd / 金属ナノヘテロ構造 / CPP-GMR / ダンピング定数 / L1_0-FePt |
Research Abstract |
1垂直磁気異方性材料からの高効率スピン注入 コヒーレントなスピン波励起による発振およびサブナノ秒領域での高速スピン注入磁化反転を目的として、垂直スピン注入層としてCo/Pd多層膜を有するCoFeB/MgO/CoFeB強磁性トンネル磁気抵抗素子(MTJ)を作製した。垂直スピン注入層とMTJの磁気的な分離にはスピン拡散長の長いCuを用いた。PdおよびCuの拡散を防止するため、Co、Pdの膜厚、および挿入層の種類・膜厚などについて系統的に調べ、(1)極薄のCoFeBをCuとCo/Pd多層膜の間に挿入すること、(2)Pd層を0.4nmまで薄層化すること、により300℃の熱処理においても100%以上の高い磁気抵抗比が得られることを明らかにした。 2スピン緩和メカニズムの解明 フェムト秒パルスレーザーを用いて、高磁気異方性材料であるL1_0-FePtの超薄膜におけるスピンの才差ダイナミクスを観測することに成功した。才差運動の周波数は最大で60GHz程度であり、ギルバートダンピング定数αは0.06程度であることが分かった。従来Ptを含む材料系ではαが0.1程度と考えられてきたが、今回の結果は予想よりも小さく、実用上重要な結果である。 3高周波スピンデバイスの創製,スピン波励起信号の測定 スピントルクにより励起したスピン波伝搬現象の解明および低消費電力のスピン波通信を目的として、下部自由層が連続した擬ポイントコンタクト型面直通電型磁気抵抗(CPP-GMR)素子を設計・作製した。直径100nmの接合部分に幅500nmのナノ細線をもちいて上部電極を作製した。また、50Ω整合のとれたコプレーナーウェーブガイドを独自に設計し、高周波伝達損失を10%まで低減させることに成功した。スペクトラムアナライザーをもちいて高周波特性を評価したところ、接合直下で励起したスピン波は多磁区構造などの影響により磁化が単純に一斉回転運動しているわけではないことが明らかとなった。
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Research Products
(114 results)