2008 Fiscal Year Annual Research Report
重い電子系における巨大スピンホール効果の実証とスピントロニクスへの展開
Project/Area Number |
20246004
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
寺嶋 孝仁 Kyoto University, 低温物質科学研究センター, 教授 (40252506)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
紺谷 浩 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (90272533)
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Keywords | スピンエレクトロニクス / 重い電子系 / スピンホール効果 / MBE、エピタキシャル / 強相関電子系 |
Research Abstract |
平成20年度は重い電子系のスピンホール効果(SHE)の研究対象となるCeIn_3を中心とした希土類金属間化合物の分子線エピタキシー(MBE)法による薄膜成長について、成長条件の最適化を実施し、良質なエピタキシャル薄膜を作製することに成功した。また、MBE法により重い電子を2次元に閉じ込めたCeIn_3/LaIn_3人工超格子の成長に世界で初めて成功した。これは2次元にある重い電子の示すSHEの研究を可能にするもので、重要な意義を持つものである。 最近、Au、Agなどの電気伝導度の高い貴金属中にCe、Ybを希釈ドープした系において外因的機構による巨大なSHEが発現することを理論的に明らかにした。この系についてもMBE法により薄膜化することに成功した。 SHEの測定のために必要なパーマロイを蒸着可能な電子ビーム蒸着装置を導入し、良質なパーマロイ薄膜を作製する条件を確立した。さらに本装置の試料導入チャンバーに既存のイオン源を設置し、重い電子系細線およびパーマロイ細線の表面をクリーニングして良好なSHE特性を得られるようにする条件を確立した。 SHE測定のための素子化については電子線リソグラフィー法による素子構造の設計とSHE検出のためのパーマロイ薄膜の細線化を実施した。重い電子系のSHE測定のための予備実験としてパーマロイ細線におけるスピン流の検出までは成功しており、21年度に実施予定の重い電子系におけるSHE測定のための準備を完了することができた。
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