2010 Fiscal Year Annual Research Report
重い電子系における巨大スピンホール効果の実証とスピントロニクスへの展開
Project/Area Number |
20246004
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
寺嶋 孝仁 京都大学, 低温物質科学研究センター, 教授 (40252506)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
紺谷 浩 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (90272533)
|
Keywords | 重い電子系 / スピンホール効果 / 希土類金属間化合物 / 分子線エピタキシー / 微細加工 / 異常ホール効果 / 超伝導 / スピントロニクス |
Research Abstract |
重い電子系におけるスピンホール効果の研究対象として重要な2次重い電子系として、21年度は重い電子系金属であるCeIn_3と通常金属であるLaIn_3を組み合わせた人工超格子を分子線エピタキシー(MBE)法で作製し、重い電子を2次元に閉じ込めることで電子の有効質量が自由電子の1000倍にまで達する最も重い電子を実現することに成功している。22年度はこの成果をさらに発展させ、希土類元素を含む重い電子系としては超伝導臨界温度(T_c)の最も高いCeCoIn_5について非磁性金属であるYbCoIn_5と組み合わせた人工超格子の作製に成功した。この人工超格子においてはCeCoIn_5が1層の場合にも超伝導が発現し、超伝導ギャップ(Δ)とT_cの比(2Δ/kT_c)が10以上となり、3次元的なバルク結晶(2Δ/kT_c=6)に比べて、極めて強い結合を持つ超伝導が実現していることを明らかにした。この結果は重い電子を2次元に閉じ込めることで電子間の相関が強い超伝導が発現することを初めて示した重要な成果である。 電気伝導度の高い金属に希土類元素を固溶させた系としてAg-Tm系をMBE法で成長することに成功した。スピンホール効果と強く関連する異常ホール効果の測定を行い、Tm濃度が10%程度の場合に大きな異常ホール効果が観測されることを明らかにした。電子線リソグラフィーによりAg-Tmとスピンホール効果の検出用のパーマロイを幅100nmの細線に加工し、銅細線でつなぎ、スピンホール効果素子を作製する技術を確立した。
|
Research Products
(50 results)