2010 Fiscal Year Annual Research Report
非二次元シリコン基板のレーザ結晶化とそのデバイス応用
Project/Area Number |
20246006
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
浦岡 行治 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 教授 (20314536)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 睦 龍谷大学, 理工学部, 教授 (60368032)
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Keywords | 薄膜トランジスタ / レーザ結晶化 / 多結晶シリコン / ディスプレイ / 非二次元基板 / フォトダイオード / グリーンレーザ / 三次元素子 |
Research Abstract |
本研究では、従来の非晶質Si薄膜のレーザー結晶化と全く異なる取り組みとして、基板を一次元、および三次元に展開している。すなわち、「非二次元Si基板」として一次元ファイバーSi基板および三次元積層Si基板を用いることを提案してきた。従来の二次元平面基板と異なるこれらの基板の形状および構造がレーザー結晶化時の光照射および熱伝導に与える効果を利用し、poly-Si薄膜の高品質な結晶化機構の解明を行っている。同時に、これらの基板の形状および構造を活用した新たなプロセス技術、デバイス構造の可能性を検討してきた。 本年度は、本研究の最終年度として、三次元薄膜の結晶化とそのデバイス応用を行った。その結果、以下の知見を得た。(1)ガラス基板に非晶質Si薄膜を積層化し、グリーンレーザを照射し、上層膜、下層膜の同時結晶化を行った結果、エネルギー密度を最適化することで、上層は多結晶、下層は微結晶化することを確認した。比較のために準備した単層膜と比べて、粒径や結晶性は優れていることをX線解析によって明らかにした。(2)上層膜を利用して、N型、P型薄膜トランジスタを作製し性能の検討を行った結果、両特性とも高い移動度を持つスイッチング機能を確認した。比較のために準備した単層膜による薄膜トランジスタと比較して優れた性能を得た。(3)さらに下層膜を用いて薄膜フォトダイオードを作製した結果、照度に依存した電流を観測した。 これらの実験の結果、本研究で提案した結晶化技術は、優れた三次元素子の作製に有効であり、新たな素子の開発を加速するものであることを示唆している。同時に、リーク電流の低減や歩留まりなどの向上において、課題が明らかになってきており、さらなる研究の必要性も示した。
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