Research Abstract |
本研究では,半導体ナノテクノロジーとバイオ界面設計に基づき,ナノ界面空間における生体分子の物質認識機能を評価・解析し,これらの知見に基づいて新しいバイオセンシング技術の構築を行うことを目的としている.本手法により,生体物質間相互作用の高精度解析が可能になると同時に,界面ナノ空間における生体分子の挙動や,膜タンパク質の構造-機能相関のような基礎科学的な知見が飛躍的に集積されることが期待されている. 平成21年度は,半導体基板上に堆積した窒化ケイ素ナノ薄膜中に微細孔を作製し,その微細孔の中で脂質二分子膜を形成することにより,二分子膜センサの機械的強度を著しく向上させることに成功した.さらに,この膜系が,シングルチャネル電流記録ができるだけのノイズレベルを達成していることを用いて示した(Langmuir 2010, 26, 1949-1952.).また,二分子膜形成時における再現性の向上を目指し,表面赤外分光法を用いた脂質二分子膜形成過程のその場観察を行い,チャネル電流測定には必須のGΩレベルの高い抵抗を持った二分子膜が形成される際には,リン脂質分子のC=O伸縮モードが現れることを見出した(Appl.Phys.Lett.2009, 94, 243096-1-3.).また,表面赤外分光に基づく非標識計測が,半導体表面上での様々な生体分子反応のリアルタイム計測に優れた手法であることを示すことに成功した(J.Appl.Phys.,2009, 105, 024701-1-7).この他,アルミニウム細線の陽極酸化過程に及ぼす細線の断面構造の影響について引き続き調べ,アルミニウム細線のアスペクト比を最適化した条件で電子トランジスタを作製し,その室温動作性について詳細に解析した.
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