Research Abstract |
本研究では,半導体ナノテクノロジーとバイオ界面設計に基づき,ナノ界面空間における生体分子の物質認識機能を評価・解析し,これらの知見に基づいて新しいバイオセンシング技術の構築を行うことを目的としてきた.22年度は,ナノポーラスアルミナを支持体として脂質二分子膜を形成し,脂質二分子膜センサの安定性の向上にについて検討した.本アプローチでは,個々の膜面積をナノスケールに下げることによる膜安定性の向上と同時に,大きな総膜面積を保つことによるチャネル包埋確率の向上の2つを兼ね備えた膜系の構築を目指している.構築した膜系は,耐電圧±1V以上,最長寿命30時間であり,従来の二分子膜に比べて著しく強度の高い二分子膜の形成に成功した(Applied Physics Letters 2010,96,213706.).また,前年度に報告したシリコン微細加工に基づく安定化脂質二分子膜について,その電気特性の向上についても検討を行った.作製したシリコンチップを絶縁層で被覆してチップ全体の電気容量を結果,ノイズ電流幅を1-2pA,過渡電流を0.5ms以下にまで下げることに成功した(Micro and Nanosystems,2012,4,2-7.).この他,ミトコンドリアのATP合成・分解過程の表面赤外分光による非標識モニタリング法の開発や(Applied Physics Letters 2011,98,133703.),室温動作単電子トランジスタの効率的作製について検討を行い,その室温動作性について詳細に解析した. 以上のように本研究課題の最終年度は,ナノテクノロジーと非標識バイオ認識界面の構築,およびその融合について研究を展開し,高機能非標識バイオチップの創製に向けての基礎を築いた.
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