2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20246011
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
福谷 克之 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (10228900)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笠井 秀明 大阪大学, 工学研究科, 教授 (00177354)
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Keywords | 表面 / 水素 / 核スピン / 氷 |
Research Abstract |
本研究では,氷やイオン結晶および炭素系物質表面における水素分子の吸着状態を詳細に明らかにするとともに,水素分子オルトーパラ転換機構の解明をめざしている.本年度は,水素分子形成実験のために,新たにマイクロ波を用いた原子状水素源の開発を行った.石英放電管を設置し,3段の差動排気システムを構築した.冷却機構を取り付け放電管の長寿命化を試みた.質量分析器で水素原子強度をモニターしながら導入水素圧力・放電パワーを最適化した。また発生する水素の角度分布を測定し, チューブ内の散乱シミュレーションと比較検討を行った. 熱脱離分光と赤外吸収分光を用いて炭素ナノチューブへの一酸化炭素吸着実験を行い,2種類の吸着サイトに相当する吸収スペクトルを観測し,熱脱離の結果と対応させ,炭素ナノチューブのグループと内側に吸着した一酸化に対応することを明らかにした.前年度までに行った氷表面でのオルトーパラ転換の解析を行い,表面不均一電場によりスピン一軌道相互作用が増強されるモデルの提案を行った. 前年度に行ったレーザー誘起蛍光法の圧力依存性から得られた衝突誘起電子遷移確率を,ボルン近似に基づく理論計算を行い,実験結果と一致する結果を得た. オルトーパラ転換時間の理論考察として,酸素が吸着した銀表面における水素分子の系に関する研究を進めた.第一原理電子状態計算の手法を用いて,銀表面上での酸素分子の最安定吸着状態を求めた.分子状吸着および解離吸着した場合の安定な吸着構造と,そのときの磁気状態を計算し,分子状吸着では酸素がスピン偏極すること,酸素分子に誘起され基盤銀原子もスピン偏極することを明らかにした.さらに、その磁気構造が水素分子のオルソ・パラ転換を加速させることを示した.また、金属表面電子と水素分子を含んだモデルハミルトニアンを用いて、ダイナミクスの定式化を行った.
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Research Products
(14 results)