2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20246017
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
関川 太郎 北海道大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (90282607)
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Keywords | 高次高調波 / 光電子分光 / パルス幅計測 / 二光子吸収 |
Research Abstract |
本研究の目的はアト秒パルス計測法の考案、実現である。本年度は、まず、光電子分光器の立ち上げを行った。さらに、実証するために、昨年度開発した高次高調波の単一次数を選び出す光学系の最適化を行った。この光学系は、高調波の必要な次数を時間幅を伸ばさずに切り出す光学系である。光電子分光への応用を考えるとアト秒パルスでも適切な光子エネルギーの光を用いる必要がある。 昨年度までは、最短で47fsまでしか圧縮することができなかった。これは、選択光学系において、二つの回折格子への入射角度が等しくないためと予想した。実験的に合わせるために二つの角度を同時に動かしながらパルス幅を測定し、最適な条件を求めた。パルス幅は、光ストリーク法と同じ実験配置で二光子吸収による交差相関法で測定した。光ストリーク法を用いなかったのは、パルス幅が長いと予想されたことと、実験室の温度変化が激しくレーザー光線の方向が時間と共に変化し測定が難しかったからである。 測定したのは21次高調波(光子エネルギー33eV)予想通り角度を変化させるとパルス幅が最短になる角度を見出すことができ、予想が正しいことが分かった。このときのパルス幅は11fsと見積もられる。パルス幅測定に用いたレーザーのパルス幅は最短で25fsであったため、構築した光学系を時間分解光電子分光に用いると、時間分解能はレーザーのパルス幅で制限される。よって、現時点では、選択された高調波の時間幅十分に圧縮されていることが分かった。レーザーのパルス幅を5fsにまで縮めることにより波長可変のアト秒パルスの発生と計測が可能になると考えている。 更に、計測結果の妥当性を検討するためLewensteinモデルを使って、高調波発生のシミュレーションを行った。25fsパルスを用いた場合、12fsのパルスが発生すると予想され、実験結果と一致した。
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Research Products
(12 results)