2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20246023
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
緑川 克美 The Institute of Physical and Chemical Research, 緑川レーザー物理工学研究室, 主任研究員 (40166070)
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Keywords | 高性能レーザー / 量子エレクトロニクス / 非線形光学 / アト秒パルス / 超短パルスレーザー / 強光子場 / X線レーザー / 多光子過程 |
Research Abstract |
本研究では、高次高調波を用いたアト秒パルスによる原子・分子におけるアト秒領域の超高速現象の計測とその解明を目的としている。平成21年度は、アト秒パルスの時間波形を従来の光電子分光法に変えて光で計測する手法の研究に着手した。 光子と物質の相互作用において、光放出過程と光吸収過程にはある種の双対性がある。例えば、1光子前方弾性散乱と1光子吸収は各々物質の屈折率の実部と虚部に対応する因果律で結ばれる過程であるし、また、高次高調波発生と超閾イオン化にも類似の関係がある。近年、高次高調波と物質の相互作用を用いて高次高調波の位相情報を得る研究が盛んに行われているが、全て光吸収(後の光電効果)を利用している。上述の前提が正しいなら、可視・近赤外領域における光位相の測定と同じ様に,光を観測することで同じことができるはずである。 今回は、高次高調波と基本波を非線形媒質に同時に照射することで周波数上方変換過程の観測に成功した。実験では、高出力チタンサファイアレーザーを集光レンズにより真空チェンバー中に配置した第一ガスセル中の非線形媒質に集光し高次高調波を発生させた。得られた高次高調波パルスと基本波のパルスを高調波用光学素子を用いて非線形媒質を満たした第二ガスセル中に集光し、発生する光子の四元運動量をX線CCDを用いて観測した。その結果、基本波の同時照射によりカットオフの次数の増大とともに、その領域での高調波強度の大幅な増加が得られ、4光波混合のような光混合過程が起こっていることが示唆された。
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Research Products
(8 results)