2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20246023
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
緑川 克美 独立行政法人理化学研究所, 緑川レーザー物理工学研究室, 主任研究員 (40166070)
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Keywords | 高性能レーザー / 量子エレクトロニクス / 非線形光学 / アト秒パルス / 超短パルスレーザー / 強光子場 / X線レーザー / 多光子過程 |
Research Abstract |
本研究では、高次高調波を用いたアト秒パルスによる原子・分子におけるアト秒領域の超高速現象の計測とその解明を目的としている。平成22年度は、高次高調波の超広帯域性を活かしたアト秒パルス列を用いた非線形フーリエ変換分光法により重水素分子の解離過程を解明した。 高次高調波からのアト秒パルス列をD_2分子に照射し、その自己相関時間波形を観測すると、N_2分子等の場合と大きく異なる時間スペクトルが観測されたが、その理由は解明されていたかった。今回、2次元のイオンエネルギー分布が測定可能なVelocity Map Imaging (VMI)検出器を用いて、その解離過程を詳細に解明するともに、フーリエ変換分光法により各解離過程を分離してその2次元運動量分布を計測すること成功した。これによって本研究で開発した手法がXUV領域の非線形過程の観測に非常に有効であることが実証された。実験では、SiCビームスプリッターにより空間的・時間的に2分割された3次から17次の高次高調波からなるアト秒パルス列をD_2分子に強度~10^<15>W/cm^2で照射し、その自己相関波形をVMI検出器を用いて測定した。観測された時間波形のフーリエ変化により、この解離過程には高次高調波の11次光に加えて、1次、3次および5次の成分が関与していることが明らかになった。さらに、これらの高調波成分を有するイオンの運動エネルギーとD_2分子のポテンシャルエネルギー曲線を考慮した結果、解離は11次光吸収に引き続いてsequentialにおこる1、3,5次光の吸収によることが明らかになった。そして測定されたデータを各高調波成分ごとに分離した2次元運動エネルギー分布を得ることに成功した。
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Research Products
(8 results)