2012 Fiscal Year Annual Research Report
シナプス前制御に基づく神経情報処理の数理モデル化とその工学応用
Project/Area Number |
20246026
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
合原 一幸 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (40167218)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 賢治 東京大学, 教育学研究科(研究院), 講師 (60446531)
渡辺 啓生 東京大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 助教 (20570609)
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Project Period (FY) |
2008-04-08 – 2013-03-31
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Keywords | ソフトコンピューティング / 脳・神経 / モデル化 / 生体生命情報学 / 数理工学 |
Research Abstract |
実際の脳がもつ、多層構造の要素を取り入れ、一部にDale則の破れをゆるす互いに抑制し合う複数の下位層と、それらすべてに一様に抑制をかける上層の構造をもつニューラルネットワークにおいてシナプス前制御を仮定してシナプス結合強度を変化させながら、その挙動を検証した。その結果、下位層間の抑制、上位層から下位層への抑制など、短期的にシナプス結合強度が変わる部分に依存して、一つのネットワークから多様な時間的・空間的パターンを生み出せることを示した。 また、シナプス前部における生理・化学的機構が大きく関わると目されているシナプス短期可塑性の神経回路システムの動作への影響を調べるため、短期可塑性の数理モデルを用いて、シナプス前細胞の発火パターン(バースト発火と呼ばれる短い時間間隔での2~数発の反復発火の頻度)の違いが、短期可塑性を介して、シナプス後細胞における応答にいかに反映されうるかを検討した。そしてその結果を元に、大脳皮質から脊髄への情報伝達(およびそれが大きく関わる運動制御)にシナプス短期可塑性がいかに関わっているかについて考察した。 さらに、神経細胞の異常な同期状態を緩和するための考察を行った。これまでの我々の研究で、シナプス前制御によって系の結合強度を微小に減少するだけで予想よりも大きな効果が得られることが示唆されていたが、その性質が、結合関数に時間遅れを含めたモデルや一階微分系のモデルを二回微分系に拡張したモデルなどの、より現実のニューラルネットワークに近いモデルでも成立することを示した。 また、シナプス前制御によって外部からの情報の decoding の精度を高め得る可能性について検証した。スパイク変数と Rate変数の時定数比を実験的に妥当な値に設定したモデルにおいて、シナプス前制御によってカオス状態を調整し系の初期値鋭敏依存性を弱めることで、情報のdecodingの精度を高められることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Reason
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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