2010 Fiscal Year Annual Research Report
マルチコアプロセッサに対応した革新的特異値分解ライブラリーの開発
Project/Area Number |
20246027
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中村 佳正 京都大学, 情報学研究科, 教授 (50172458)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻本 諭 京都大学, 情報学研究科, 准教授 (60287977)
木村 欣司 京都大学, 情報学研究科, 特定准教授 (10447899)
山本 有作 神戸大学, システム情報学研究科, 教授 (20362288)
岩崎 雅史 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (30397575)
高田 雅美 奈良女子大学, 人間文化研究科, 助教 (20397574)
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Keywords | マルチコアプロセッサ / 特異値分解 / 並列計算 / 可積分系 / 計算アルゴリズム / ダルブ変換 |
Research Abstract |
マルチコアプロセッサを用いた密正方行列の高速な特異値分解のために、マルチコアプロセッサ環境に有利なビショッフのアルゴリズムと村田法による前処理及び後処理と並列I-SVD法を組み合わせる方法を開発した。この手法では、村田法の逆変換の処理の一部を並列I-SVD法において待機状態のコアで実行させる。これによってコアの稼働率が向上し、密正方行列の特異値分解の計算時間が短縮され、並列I-SVD法と行列作成に必要な合計計算時間を短縮できることが数値実験によって確認された。 特異値分解アルゴリズムの性能を調べるには条件数の極端に大きなテスト行列が必要である。そこで、このようなテスト行列の作成法を提案するとともに、そのテスト行列を用いたLAPACKルーチンの性能評価を行った。 全非負定値な帯行列の固有値を高精度に計算するdhTodaアルゴリズムに対し、収束加速のための原点シフトを導入する手法を提案した。シフトを最小固有値より小さく選ぶことで全非負定値性を保つことができ、高精度性を保持したままの加速が可能になると期待される。また、このアルゴリズムの漸化式と既に提案されているシフト付き多重dqd法の漸化式とを結ぶベックルンド変換を見出した。 mdLVsアルゴリズムには離散ロトカ・ボルテラ(dLV)系に基づくダルブ変換が組み込まれている。このダルブ変換に対する誤差解析を行い、浮動小数点数演算で生じる誤差が小さいことを示した。さらに、減算のない高精度アルゴリズムの基礎理論として可積分系の立場から新しい漸化式を与え、新たな可解な確率測度を有する例外型ヤコビ多項式に対する効率的な計算法をダルブ変換から定式化した。
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Research Products
(6 results)