2010 Fiscal Year Annual Research Report
再生バイオ人工肝臓におけるマイクロナノ物質移動の構築
Project/Area Number |
20246041
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
谷下 一夫 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (10101776)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 満里子 慶應義塾大学, 理工学部, 名誉教授 (00051368)
須藤 亮 慶應義塾大学, 理工学部, 専任講師 (20407141)
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Keywords | バイオ人工肝臓 / 幹細胞 / 物質移動 / 胆管 / 毛細胆管 / 毛細血管 / 共培養 / 星細胞 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、バイオ人工肝臓の構築を目指して、肝細胞、星細胞及び血管内皮細胞による3次元組織構築に関する実験を行った。(1)肝細胞多重積層化による機能促進のメカニズムを明らかにする実験を行った。生体吸収性膜PLGAを用いて肝細胞と血管内皮細胞の共培養を行った結果、血管内皮によるネットワークが維持され、特に星細胞が毛細血管ネットワークを包み込むような分布になり、ペリサイト様の状況を呈した。星細胞の関わりは極めて重要で、星細胞が肝細胞と血管内皮細胞との間を媒介することによって、安定な組織構築が出来る事を見出した。1μm径のポアを持つ微孔性膜を用いて、肝細胞と血管内皮細胞による3次元積層化には、星細胞が関与しており、関与の仕方が極めて独特であった。(2)本研究で重要な課題は、肝細胞組織に血管ネットワークをめぐらす「血管化」にあるため、毛細血管ネットワーク形成の工夫を行った。特に、毛細血管ネットワーク形成は、せん断応力の力学的刺激の負荷に応答して、せん断応力依存性を示した。さらに拍動流を負荷させると、拍動の周波数によってネットワーク形成が変化した。拍動流の負荷により血管内に平滑筋の形成が確認されているが、生体内の力学的負荷に近い状態で血管ネットワーク形成を調べている。(3)内皮細胞における物質移動特性に関しては、せん断応力負荷によって大きく機能を変化する事が予想され、さらに実験を継続している。(4)胆管ネットワーク形成に関しては、本格的な実験を継続している。これまで我々のグループで、胆管上皮細胞による太い胆管形成(LBD)と細い胆管形成(SBD)に成功している。そこで、胆管形成に関わる細胞環境による影響を明らかにするため、まず基質の影響を調べた。基質であるコラーゲンの濃度とpHを変化させ、コラーゲンの硬さを変えた所、硬さに依存して胆管ネットワークが大きく変化した。さらに、小型肝細胞との共培養にも成功し、新しい胆管ネットワーク形成を実現させた。さらに生体吸収性膜PLGAを使って胆管ネットワーク形成を行い、新たな胆管形成のマイクロ環境を明らかにする事が出来た。
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Research Products
(22 results)