2008 Fiscal Year Annual Research Report
結晶ひずみを利用したSi MOS反転層移動度決定機構の解明と高移動度化指針の確立
Project/Area Number |
20246055
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高木 信一 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 教授 (30372402)
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Keywords | MOSFET / ひずみSi / 移動度 / 表面ラフネス / クーロン散乱 |
Research Abstract |
二軸引っ張りひずみをもつバルクSi MOSFETの移動度において、特に、表面ラフネス散乱とクーロン散乱によって決まる移動度成分に関して、ひずみ量を系統的に変化させて、ひずみの影響とその物理的機構を調べた。ここで、ひずみSi MOSFETの基板の緩和SiGe基板のGe量を、0%(ひずみ量0%)から40%(ひずみ量約1.7%)まで変化させた。結果として、以下のことが明らかとなった。 (1)表面ラフネス散乱による移動度 ・表面ラフネス散乱によって決まるSi MOS反転層の電子移動度は、二軸引っ張りひずみの印加による増加する一方、正孔移動度は、移動度が若干減少したのちほぼひずみなしと同じレベルにまで戻ることが明らかとなった。 ・MOS界面をTEM分析により直接評価したところ、ひずみの印加と共に、表面凹凸の高さが減少することが確認できた ・以上の点から、ひずみによる電子移動度の上昇は、表面凹凸の高さの低下に起因する一方、正孔移動度の移動度の若干の低下は、凹凸の相関長の低減と凹凸の高さが複合していると考えることで説明できる可能性がある。 (2)クーロン散乱による移動度 ・クーロン散乱によって決まるSi MOS反転層の電子移動度に与えるひずみの効果は、クーロン散乱対が基板不純物であるか、MOS界面電荷であるかによって、その依存性が異なることが明らかとなった。基板不純物の場合は、二軸引っ張りひずみの印加で、移動度は上昇するが、MOS界面電荷の場合は、移動度は低下する。 ・一方、正孔移動度に当たるひずみの効果は、この逆の傾向を示すことが明らかとなった。クーロン散乱対が基板不純物の場合は、移動度が上昇する一方、MOS界面電荷の場合は、移動度が上昇することが実験的に示された。
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