2011 Fiscal Year Annual Research Report
有機界面のキャリア輸送現象と有機電子光デバイスの高速化に関する基礎的研究
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20246058
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大森 裕 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50223970)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶井 博武 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教 (00324814)
景山 弘 琉球大学, 工学部, 准教授 (50294038)
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Keywords | 有機導体 / 分子性固体 / 電子・電気材料 / 有機発光素子 / 有機受光素子 / 真空プロセス / 溶液プロセス / 有機界面 |
Research Abstract |
高速で動作する有機電子光デバイスの実現を目的とし、高分子薄膜のインターレイヤー,可溶性のある低分子系材料・高移動度材料,結晶性薄膜を用いた有機デバイスに関して電気光学特性を検討した。 1.高速化・高感度が可能な積層型有機発光素子の応答特性を検討するために、インピーダンス分光による素子パラメータの解析を行い、等価回路を解析することにより、過渡応答特性との関係について詳細な検討した。その結果、有機/金属界面および有機層中への金属の拡散やそれに伴う電子トラップ増加により素子の応答性が大きく影響していることが判明した。電極材料と電子注入層との間で積層の順番が異なることで素子特性が改善可能であることが明らかになった。 2.有機受光素子の高感度化と高速化に向け、高分子薄膜のインターレイヤー挿入、電極への単分子膜の導入、正孔輸送性のスターバスト系材料と電子輸送性のフルオレン系材料によるバルクヘテロ構造の形成にて、受光感康と消光比の増加を実現した。また、素子特性とエネルギーバンド構造との関係について検討を行った。 3.オール溶液素子による発光デバイスの作製と高速化を目指し、有機薄膜の移動度の向上とナノ粒子銀を用いた素子作製の可能な素子の候補として、結晶薄膜に基づくフルオレン系有機発光トランジスタの高移動度化・高効率化とオール溶液プロセス素子作製について検討を行った。発光解析から、液晶状態における高分子の自己組織化を利用することで、比較的安定なITOソース・ドレイン電極により高効率化や高移動度化が可能であった。また、銀ナノ粒子を利用し、ゲート絶縁膜の選定と処理方法を選ぶことで、オール溶液素子による有機発光トランジスタが作製可能であることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
有機デバイスの作製プロセスに関しては、真空プロセスと溶液プロセスを比較しながら最終目標とする溶液プロセスでの作製に向けて電極作製も溶液プロセスで行うことを検討した。素子の動作メカニズムを検討する上で重要なデバイスパラメーターをインピーダンス分光により解析する事を行い、素子設計の指針を得て素子動作の高速化へ向けて素子の作製を行っている。有機界面が素子特性に重要な役割を果たしており、材料の選択と単分子膜などの導入により素子特性の向上を図っている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の最終的な目標は、有機デバイスの高速動作を実現する事にあり、大きく下記の2つの項目を検討する。 1.作製プロセスでは印刷プロセスによる有機電子・光デバイスの作製を行う。 具体的なデバイスとしては有機発光素子、有機トランジスタ、有機受光素子を取り上げ、印刷プロセスによる素子作製と高速応答の実現を目指す。さらに、電極の作製も印刷プロセスによる作製を検討し、パターン化の検討を行う。 2.有機電子・光デバイスの動作解析 インピーダンス分光などの手法によるデバイスパラメーターの解析と、過渡応答特性の解析による、キャリアダイナミックスと素子動作の解析を引き続いて行う。有機半導体薄膜の界面および有機半導体薄膜と電極との界面、単分子膜の挿入の効果など界面に関する検討を引き続いて行う。
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Research Products
(55 results)