2008 Fiscal Year Annual Research Report
300GHz帯を利用した20Gbit/s級高速無線技術に関する研究
Project/Area Number |
20246062
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
永妻 忠夫 Osaka University, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (00452417)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高原 淳一 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 准教授 (90273606)
久武 信太郎 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助教 (20362642)
|
Keywords | 先端的通信 / 電子デバイス・機器 / 無線通信 / ミリ波 |
Research Abstract |
当該年度は、初年度の取り組みとして、300GHz帯ミリ波無線システムの要となる送信機の高出力化に向けた検討からスタートし、以下の成果を得た。 まず、最終目標とする20Gbit/sの伝送速度を実現するために、どの程度の送信出力が必要になるかを定量的に明らかにすることを目的として、単体のフォトダイオードを用いて300GHzの電波を発生させ(出力50μW)、ショットキーバリアダイオードによる受信機と組み合わせて無線通信実験を行なった。これにより300GHz帯で1.5Gbit/sのエラーフリー無線伝送に成功した。搬送波として300GHzを超える無線でのギガビット伝送は世界初である。本結果を基に20Gbit/sの伝送速度を実現するためには、約40倍(2mW)の出力増加が必要であることを明らかにした。この出力を達成するためには、フォトダイオード単体として5倍(250μW)、さらにアレー化による電力合成で8倍の出力向上を行なうことが実用的なアプローチであると判断した。 そこで具体的に後者の電力合成回路の設計に着手し、最大8個までのフォトダイオードの出力を合成するための回路技術の検討を行なった。従来のウィルキンソン型電力合成回路を300GHz帯に適用することが困難であることから、新たに、T分岐回路とインピーダンス整合回路を用いる回路手法を採用し、所望の電力合成回路が実現できる見通しを得た。実際に設計した回路の第一次試作を終えたところであり、チップレベルでの動作を次年度にかけて行なう予定である。 また、光信号を分岐して各フォトダイオードに供給するための光分岐回路の設計も並行して行い、石英ベースの平面光回路で8分岐回路を試作した。最大1Wまでの光入力に耐えられることが確認された。 以上、キーデバイスの試作が予定通り進捗したことに加え、初年度に300GHz帯無線実験に着手できたことの意義は大きい。
|